研究実績の概要 |
大量データの高速分類や、入力と大量の辞書データとの高速照合・高速検索の実現には、概略データを使って事前大分類を行うことが効率的である。概略情報は情報圧縮を行って構成される。臓器などの形状情報の概略情報は概略形状と呼ばれる。主成分分析の結果を利用すれば、元のデータを概略的に表現する情報を抽出できると共に、データを近似する集合である線形部分空間の次元を選択的に抑制することが可能となり、概略形状の幾何的性質を能動的に変化させて、情報濾波の精度を階層的に制御可能となる。そこで、固有値の順序に基づいた主成分行列の決まる固有空間の配置と、近似概略形状の近似度との関係の解明、幾何学的な微小変化を受けてた情報からの不変な概略形状を算出法の検討を行い、これら2点の成果のもとで、目的形状、並びに、目的形状に含まれる微小変異を大量のデータの中から発見する高速検索法の開発し、臓器を対象とした多元多次元医用画像ならびに、着色固定顕微画像からの微小病変部分や、新規材料の内部構造変化部分を推定抽出する算法を開発し、概略形状の計算法と近似の精度について理論解析と数値解析を行い、有効な圧縮法を検討した。 医療現場では、例えば、MRI, 放射線、超音波に代表されるように、多数の計測手法によって人体内部が2次元、3次元で映像化される。通常はそれぞれの計測手法ごとに、特徴情報を検出し、病変部の同定、病変の種類、病変の進行状況、病変の治癒過程等が、診断される。そこで本研究の成果を利用すれば、多種多様な画像として得られる多元配列データを多次元多元画像として記述し、それらを重合わせて表現することで、高次多次元多元画像として表現できる。多元的な医用画像データから構成される高次多次元多元画像に画像解析手法を施すことによって、病変部やその状況等の把握を助ける新しい特徴量を診断情報として発見し、医師に供することが可能となる。
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