最終年度では,前年度に提案した深層学習を利用した特徴選択層について,層の形状や活性化関数の違いなど,様々な状況においてどのような振る舞いをするのかを調査した.また,膵癌に関する実際に取得した遺伝子発現データに対して,提案した特徴選択手法を適応した結果,膵癌の予後不良・良好に有意に関与していると考えられている遺伝子を選択することができる可能性を確認した.これらの結果は,ネットワークの構造や活性化関数により変化するため,さらなる実験と専門家による調査が必要である. さらに,データ毎に各特徴がどれだけ識別に有効かどうかを判断する自己注意特徴選択層を新たに提案し,ある特定のクラスに特別に作用する特徴量の選択ができるようになった.これにより,例えば,腫瘍の悪性・良性を識別するようなタスクに対して,悪性のデータのみに作用する特徴だけを取り出すことが可能になり,これまで以上に探索的データ解析における新たな知見が得られる可能性を見出した.これらの特徴選択層および自己注意特徴選択層は深層学習の優れた識別性能を活用し,大規模かつ超高次元のデータに対しても適用可能である. 新たに提案した自己注意特徴選択層をに関する研究結果を本年度中に学会発表および論文化することができなかったものの,この研究により新たに共同研究ができるようになり,少サンプル数ながら超高次元の実データを利用した研究ができる可能性が出てきた.そのようなデータを利用した研究を早急に続けていくための足がかりを得ることができ,今後の研究がさらに広がっていくと考えている.また,現在までの研究結果をまとめ,なるべく早い段階に論文化していきたいと考えている.
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