研究課題/領域番号 |
17K00238
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
西山 正志 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (20756449)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 人物対応付け / 画像劣化モデル / 低解像度 / ぼけ / リサンプリング |
研究実績の概要 |
広範囲を見渡すカメラでは画像中に占める一人あたりの人物の解像度が極端に低くなる場合が多く,人物照合の性能が大きく低下する問題がある.低解像度であっても個人を正しく照合できるシステムを実現できれば,一つのカメラで見守ることができる範囲が長大になり安心・安全な社会の実現に貢献できる.そこで本研究では,入力画像と辞書画像が共に極端に低い解像度であっても,与えられた人物画像の劣化過程に適切なリサンプリングで解像度を復元することで,人物を精度よく照合する方法を開発する.低解像度による劣化過程を画像劣化モデルとして新たに設計し,実証実験により照合性能が向上することを明らかにする. 前年度は,低解像度に影響を受けない人物照合モジュールをシミュレーションデータで開発してきたが,本年度は実環境の広角カメラで撮影した実データで開発を進めた.撮影した人数は20名と限られるが,カメラのレンズパラメータ,人物とカメラの距離関係を様々に変化させた独自データベースを新たに構築した.具体的には,レンズパラメータとして,焦点距離を広角からズームに調整した.また,焦点距離を固定し,人物の立ち位置をカメラの近くから遠くへ調整した.これにより,低解像度から高解像度の人物画像を収集した.この様なデータベースは,調べた限りではあるが,世界で初めてである.本年度に構築した実データにおいて,前年度までのシミュレーションデータと同様に,低解像度の人物画像を単に高解像度へ復元する方法と比べて,逆に解像度を落とす復元方法が,人物対応付けの照合性能を高めることを実験で確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は,前年度と同様に,計画通りに研究課題へ取り組むことができた.研究成果の進捗について国内学会で発表し,本課題の着眼点,および,実データによる実験結果について高評価を得た.本年度は実データでの評価を重視し,前年度に開発したアルゴリズムを用いて実験を行った.現時点では,当初計画した成果が見込まれる実験結果を得ていることから,最終年度の次年度はアルゴリズムの安定性を高め,実験結果が改善される理由の考察も同時に行い検証をさらに深めていく必要があることが明らかになった.
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今後の研究の推進方策 |
次年度より,実データとシミュレーションの両面から,低解像度に影響を受けない人物照合モジュールの効果検証を深めていく.さらに次年度より,本年度に構築した実環境カメラで撮影された実データを用いることで,前年度に開発した人物照合モジュールを用いた対応付け精度をさらに安定にしていく.低解像度の人物画像に合わせて解像度を落とす復元方法の理論的な背景の考察を進めていく.既に得ている研究成果については早急に論文化を進めていく.
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