研究課題/領域番号 |
17K00239
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
右田 剛史 岡山大学, 自然科学研究科, 助教 (90362954)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3次元形状復元 / 非線形最小2乗法 / 照度差ステレオ法 |
研究実績の概要 |
本研究では,画像生成の逆問題として定式化される物体の3次元形状復元や物体追跡を統一された定式化で扱うことを目指しており,当該年度は,照明条件の違いに基づく照度差ステレオ法,視点と形状を同時に推定するSfM/多視点ステレオ法,物体追跡法の改良を検討した. 照度差ステレオ法に関しては,画像の高解像度化に対応するための新しい形状表現法(物体形状をブロック化し,その内部の高さを直交基底の線形結合で表す)を検討し効果を確認した.これをもとに,実際の高解像度画像への適用や高速計算を目指す予定である.SfM /多視点ステレオ法に関しては,人物顔を基底顔形状の線形結合で表し動画像上の顔に対して形状と視点を一括推定することで推定精度が向上することを確認した.この手法は視点の異なる画像を利用でき,この機能を前述の照度差ステレオ法に統合することで視点変化と光源変化の両方を利用した安定な形状復元の実現が期待できる.また,距離画像の解析による物体追跡法(人物追跡)も検討した.一般に可視光画像だけによる形状推定は不安定であるため,距離センサ情報の統合による形状推定精度の安定化が期待される. これらの手法は,推定パラメータに基づく生成画像と入力画像の差を最小化するか,モデルと観測データの差を最小化する非線形最小2乗法で実現されており,実装法には共通点が多いため,1つの手法のために実装した高性能数値解析技法が他の手法の高性能化にも応用できる部分が存在する.このため,前述の各手法で個別に検討した機能の共通化を進めることで,更なる高性能化を目指すことができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次年度以降の課題と順序を入れ替えた部分もあるが,3次元形状復元や物体追跡を統一された定式化で扱うことや高解像度画像に対応するという目標に対して,有用な要素技術の検討が進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,前年度の成果をもとに,複数手法の統合や高解像度画像への適用を目指す. その際,これまでとは異なる種類の処理対象入力データが必要となるため,新規に購入する高解像度カメラによって取得,またはシミュレータによって生成する.多くのサンプルを得るにはシミュレータによる実験が不可欠であるが,単純なシミュレータでは形状推定の不安定性をもたらす要因を正確に再現できず推定手法の性能を正しく評価できない可能性があるため,実データの重要な特性を再現できるシミュレータを作成する必要がある.なお,視点変化や距離データを扱う統一的推定手法を目指すのは,このような不安定要因に影響されずに安定な推定を行うためであるが,この要因が何であるかは現在のところ特定できておらず,実データを参考に明らかにしていく必要がある. また,計算速度の向上のため,効率的な形状表現法を引き続き検討するとともに,計算手法の整理や今後の計算ハードウェアに適する高並列計算法の実装等も検討する.最近ではコア数の多いCPUが発売されているため,GPUだけでなくCPUによる計算も有力と考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末にもう1件の学会発表の可能性もあったが,これを見送ったため残額が発生した. 次年度の助成金と合わせ,代替の発表費用として利用する予定である.
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