1.ノルム正規化を保証するGAT相関法について、「全体-全体」画像マッチングの能力を確認するため、標準画像に回転、回転+雑音、回転+ボケ、一般的なアフィン変換、射影変換を施した人工的な変形画像を作成して、標準画像とそれら変形画像との間で系統的かつ網羅的なマッチング実験を行った。特に、相関ベースの代表的手法ECCおよび特徴ベースの代表的手法ORBとの性能比較を行った。その結果、ノルム正規化を保証するGAT相関法が最も安定でかつ最も優れた画像マッチング能力を有することを示すことができた。 2.GAT相関法やGPT相関法を「全体-部分」画像マッチングに適用するには、マルチスケールでスライディング窓探索を行う必要があり、処理時間が膨大化する難点があった。これを解決するため、アフィン変換パラメータないし射影変換パラメータの初期値探索を行う手法として、スライディング離散フーリエ変換とフーリエ記述エッジ方向ヒストグラムを組み合わせた画像マッチング手法を提案した。公開画像データを用いて、特徴画像マッチングの代表的手法であるASIFT/ASURFとRANSACの組合せとの比較実験を行った結果、提案手法がマッチング能力ならびに処理速度において優位にあることを示した。これにより、物体検出のための「全体-部分」画像マッチングを行う際、提案手法でまず変形パラメータの初期値を効率的に探索し、次いで画像マッチング性能の高いGAT相関法ないしGPT相関法を適用する、という強力なアプローチが実現可能となった。 3.上記1.で得られた研究成果は国際会議で発表して活発な質疑があり高い関心と評価を得ることができた。上記2.で得られた研究成果は学術ジャーナルに投稿して、採録された。
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