研究課題/領域番号 |
17K00254
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研究機関 | 大阪電気通信大学 |
研究代表者 |
西 省吾 大阪電気通信大学, 情報通信工学部, 准教授 (70411478)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 画像の見えモデル / ハイダイナミックレンジイメージング |
研究実績の概要 |
本研究課題では画像の見え予測について取り組んできた。シーン情報は複雑刺激のため,シーン再現には色の見えモデルとは異なるアプローチが必要である。また,夜間景観は輝度比が大きく,ハイダイナミックレンジイメージングが必要になる。そこで令和元年度は,前年度までに構築した画像の見えモデルを実シーンとの比較により改善することに取り組んだ。さらに,ハイパースペクトルカメラを購入し,RGBカメラによるハイダイナミックレンジイメージングの較正法について検討を行った。 画像の見えモデルでは,シーンの明度特徴を反映させた輝度分布画像を利用するが,全体的に彩度の低下が表れた。そこでモデルに組み込まれているHunt効果の調整を試みた。Hunt効果は,物体の色が順応輝度の増大に伴い,より鮮やかに知覚される現象である。画像の見えモデルではシーンの輝度が彩度に影響することを意味するが,モデル内でトーン圧縮が過剰に行われた影響によりHunt効果の予測が適切に行われていない可能性がある。また,画像の見えモデルとは切り離し,YCbCr色空間において画像処理により彩度補正を行うことでこの問題を改善する手法も検討した。いずれの手法においても彩度低下を改善できたが後者の手法が多くのシーンで有効だったことが確認できた。 ハイパースペクトルカメラによる較正は,ハイパースペクトルカメラからデータ抽出が行えるようになったが,450nm以下と650nm以降のカメラ出力が不安定であることが明らかになり,この問題について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハイパースペクトルカメラを利用したカメラ較正を検討しているが,ハイパースペクトルカメラからの出力が不安定な波長帯域があり,この帯域の補正処理を行う必要性が生じた。可視波長帯域の両端50nmの出力が不安定であり,最終的な画像の見えにどの程度影響を与えるのか,詳細な比較実験を行う必要がある。併せて,実シーンでのモデル検証を行なった結果,画像の見えモデルの調整も必要になった。彩度への影響が大きいHunt効果についてシーンの輝度に応じた調整も検討している。それゆえ,当初の予定よりやや進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ハイパースペクトルカメラによる較正法を確立する。可視波長帯域の両端50nmのカメラ出力の補正をまず検討する。併せてそれらのカメラ出力を利用しない補正についても検討する。また,画像の見えモデルの改善にも取り組む予定である。彩度低下の問題はHunt効果の予測と密接に関連があるため,モデル内で彩度低下を抑える仕組みを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により,参加を予定した幾つかの学会や研究会が相次いで延期となり,研究遂行上,学会参加による情報取集が困難となったため。2020年度に開催される研究会や学会の参加費や旅費として使用する予定である。
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