2019年度は,これまでの成果を受けて,顔向き変化を用いた人物の意図推定と不審者検出への応用を中心に画像処理技術の開発とその検証を実施した. 顔向き変化の推定は,2018年度までに採用していた深層学習を用いたフレームワークを利用した.顔検出および顔向き変化の推定は,それぞれの分野において現在最高水準の精度を持つとされている,TinyFaceとDeepGazeを用い,そこから得られた時系列の顔向きデータを利用して,人物の意図,特に不審行動をとっている人物の推定を行った.時系列の顔向きデータの中から,他と比べて特異な動きをしている人物や,不自然に大きな動きをしている人物を特定し,それが不審行動をとっている人物とすることにした.この手法の有効性を検証するために,スタジアムでの観客席を想定した映像データセットで実験を行った.このデータセットは昨年度から利用している公的研究機関によって収集されたもので,現実の犯罪現場にできるだけ即したものとしている.このデータセットで評価実験を行ったところ,不審者検出につながる有効性が確認できた. さらに,同じデータセットを用いて,不審な荷物をもつ人物を特定する技術の開発とその検証を行った.映像中の物体検出・認識を行う手法として知られている m2det を用いて,それが人物行動の認識にも有用であることを確認した.
|