研究課題/領域番号 |
17K00265
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
馬場 敬信 宇都宮大学, オプティクス教育研究センター, 教授 (70092616)
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研究分担者 |
大津 金光 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (00292574)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒューマンインタフェース / 計算機ホログラム / ギガピクセル / マルチGPUクラスタ |
研究実績の概要 |
ホログラフィック3Dディスプレイは、特別な機器を装着せずに3D表示が可能であることから、これからのヒューマンインタフェースとして長年実用化が期待されて来た。このための課題の一つが、コンピュータ上でホログラムデータを生成するための計算コストが高いことがあげられる。特に高精細・高視野角ディスプレイを実現するには、ギガピクセル規模のホログラム計算が必要となるため、その計算コストは膨大なものとなる。 この課題に対して、本研究では、我々が先に考案したオブジェクト分割法と呼ぶデータ分割法を活用し、これをマルチGPUクラスタ上に実現して高性能化を図っている。本年度は具体的に次の(1),(2)を実施した。 (1) ギガピクセル規模のフレネルホログラムの計算に適用した結果に基づき、(i)3つのレイヤーにおける並列化の可能性があること、(ii)光学実験により3Dイメージが正しく再構成できること、(iii)シミュレーションにより16ノード(各1GPU)上で1レイヤーの並列性を活用して2倍の高速化、16ノード(各16GPU)上で2レイヤの並列性を活用して20倍の速度向上が可能であることを明らかにした。 (2) 上記シミュレーションによる評価結果を踏まえ、当初の目標であった2GPUを搭載したノードを8台組み合わせたマルチGPUクラスタを構築すると共に、この実機上での並列化、最適化を試みた。この結果、3.2ギガピクセルオブジェクトから1.6ギガピクセルホログラムの生成が4.28秒で行えること、さらにこれが、通常のCPUでの逐次処理の237.92倍、マルチコアCPU上でのマルチスレッド実行の41.78倍の速度向上であることを確認した。 (1)の成果をApplied Opticsにおいて公表した。(2)の成果は、ApPLIED国際会議で発表し、さらにIEICE論文誌に投稿して採録が決定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々の考案したオブジェクト分割法をギガピクセル規模のフレネルホログラムの計算に適用した結果、3Dイメージが正しく再構成できることを光学的な実験により明らかにし、さらにシミュレーションにより高速化を見積もって、その成果をApplied Opticsにおいて公表したこと、及び構築した8ノードのマルチGPUクラスタにおいて、並列化、最適化の効果を具体的かつ詳細に検討して、その成果を国際会議において公表し、論文誌に採録が決定したこと、これによってさらなる大規模化、高速化のための基礎固めを行えたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
ここまでの実験結果の解析から、従来の各ノード内での最適化だけでなく、ノード間通信の高速化に目を向ける必要があることが分かり、ネットワークの高速化を具体的に考えて行く予定である。また、さらにデータサイズが大規模になったときの性能がどのようになるかを実験的に検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
マルチGPUクラスタの計算ノードおよびノード間接続ネットワークについて、これまでの成果を十分に見極めた上で、性能向上により効果的な部分を拡充したいと考えているため。具体的な拡充候補としては、ネットワークの高速化やノード数の増加などを考えている。
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