研究課題/領域番号 |
17K00269
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
田口 亮 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70508415)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヒューマンコンピュータインタラクション / 言語獲得 / シンボルグラウンディング / サービスロボット / 音声命令学習 / 自動検査 |
研究実績の概要 |
ロボットが実際のタスクのなかで動作系列名を学習するためには,時系列データの分節化と予測が必要となる.従来の動作学習では,人が操作した動作と単語の共起データを用い,学習する必要があった.しかし,人の命令は動作と同時ではなく,動作の直前に与えられるため従来手法では学習できない.そこで,我々は立命館大学の谷口らが開発したHDP-HLMを応用した手法の開発を進めている.HDP-HLMはデータの二重分節構造を利用し,時系列データを自動的に分節化し,頻出するパターンを学習できる.しかし,学習結果を用いた予測手法は確立されていない.そこで本研究では,HDP-HLMで得られた確率モデルを利用し,未観測データの予測が可能な手法の開発を進めている.これが実現すれば,未知の命令が入力された際に,次の動作の候補を推定することができ,タスクの中での学習が可能になる. また,動作系列名学習および動作価値に基づいた意味推論手法には,車両とロボットの相対位置情報が必要となる.2018年度には, CNNを用いたビジョンベースの位置推定手法を開発した.2019年度は,推定精度の向上を目指し,U-Netを用いて車両付属品(ホイール,ライト,ナンバープレート)を認識し,車両とロボットの相対位置を推定する手法を開発した.この手法は,キズ検査の際に誤検出の要因になる,車両付属品を自動除去することも可能であり,キズ検査精度の向上にも寄与した. さらに,近年,深層学習に基づいた対話処理研究の発展が目覚ましい.我々が開発している手法と深層学習に基づいた手法の統合方法を模索するため,深層学習に基づいたQAシステムの開発を行った.提案したシステムは,入力された質問に対し,指定した発話行為(質問に対し情報を提示する,質問に対し質問で返す等)に応じた応答が生成できることを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では,ロボットがサービス遂行に係る語彙を学習するための手法の開発を目的としている.当初,ロボットの動作や対話のモデル化には,確率モデルに基づいた手法を用いることを計画していた.しかし,近年,深層学習に関する 研究の発展が目覚ましく,確率モデルに基づく手法だけでなく,深層学習に基づく手法も同時並行で比較・検討する必要性が生じた.そのため,研究遂行に時間を要し,当初計画の見直しが必要となった.
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今後の研究の推進方策 |
(1)HDP-HLMによる未観測データの予測手法を完成させ,2019年度までに開発した,(2)車両付属品認識に基づいた相対位置の推定手法,(3)語彙学習手法を統合する.また,発話の認識・理解には深層学習に基づいた手法も併用し,より多様な発話を認識・学習可能な手法の開発を行う.そして,検査タスクを用いた提案手法の評価を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業期間延長承認申請書に記載した通り,当初計画の見直しが必要となったため,2019年度に使用する予定だった金額の一部を2020年度に繰り越した.研究会への参加や,ロボットの修理・メンテナンス費用に充てることを計画している.
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