研究課題/領域番号 |
17K00273
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
清水 忠昭 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (80196518)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 空中手書き文字 / ジェスチャ入力 |
研究実績の概要 |
空中手書き文字分割について、文字軌跡の2次元データを用いた分割の高精度化について実験結果を第20回 IEEE 広島支部学生シンポジウム(稲村、清水)発表した。これは、主課題の3次元データを用いる手法の有効性を示すための準備として、昨年度より取り組んでいた内容であり、従来の2次元データを用いる方法をチューニングし、現状で最適な分割パラメータを発見するものである。 文字軌跡の3次元データを用いた分割の高精度化の検討について、中間的な結果を平成30年度(第69回)電気・情報関連学会中国支部連合大会(稲村、清水)で発表した。主課題の3次元データを用いる手法について、予備実験の結果を報告している。2次元データを用いた手法を、様々な方法で3次元データに対して拡張して予備実験を行った。 また、被験者20名により、空中手書き文字軌跡の3次元データを収集し本実験を遂行した。従文字分割については2次元データの利用に対して3次元データの利用により分割の高精度化を達成した。予備実験で検討した分割パラメータのうち、性能が良かったパラメータを組み合わせ、2次元データによるパラメータに3次元データによるパラメータを組み合わせることで文字分割精度が向上することを示した。 しかしながら、文字分割の前段階の文字ストローク分割処理については分割精度をあげることができなかった。このため、本年度の実験では、文字ストローク分割については2次元データを用いた手法のままである。これについては平成30年度修士論文(稲村)にて発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
従来研究である空中手書き文字の2次元データを用いた文字分割の経験から、3次元データを用いて適切なパラメータを発見できれば、より高精度で実用的な分割手法を構築できると考えていた。実績欄にも述べたように、文字分割については2次元データを用いた手法を3次元データに拡張して用いることで文字分割精度の向上が可能であることを示せたが、その前段階である文字ストローク分割では、考えていたいような効果を得ることができなかった。 本年度は、この部分で試行錯誤を繰り返したため、多くの予備実験の時間を必要とし、実験計画が遅れることとなった。2次元データに対する手法を様々な方法で拡張し、3次元データに適用したが、効果的な手法を見出すに至っていない。 今後は、ストローク分割に対してこれまでの手法を一旦断念し、本研究室で別に研究しているリザーバコンピューティング(ニューラルネットワークの一種)を軌跡データに適用することで、ストローク分割の精度を向上させようと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の状況では、文字ストロークの分割に課題を残している。これを解決するために、研究計画には無かったリザーバコンピューティングの手法を導入を計画している。 研究室の別グループにより、リザーバコンピューティングによる信号予測の手法が人工的な信号(関数)によって評価研究されており、この技術を利用することができる状態にある。また、この技術により計算量をあまり増やさずに文字軌跡の予測が可能なため、これを用いてストローク分割する手法を検討している。 この手法で、ストローク分割を精度を向上させることができれば、システム全体として空中手書き文字入力における文字分割の問題を、初期の目的通り達成できるものと期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に、被験者から得た実験データをPC外へ退避する必要が生じ、外付けSSDを購入した。この際、予定金額に対して業者の割引が大きくなり、SSD本体の税込価格の2%弱の残額が生じた。来年度の消耗品費等に充てたい。
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