研究課題/領域番号 |
17K00283
|
研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
岡 哲資 日本大学, 生産工学部, 教授 (00282921)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | マニピュレータ / 音声 / 片手 / タッチ / インタフェース / ロボットアーム / ジェスチャ / 操作 |
研究実績の概要 |
申請者のこれまでの研究結果と関連研究の結果に基づいて、音声とタッチパネル上でのジェスチャによるマニピュレータ操作の効率および直感性に関する考察を行った。また、これまでの研究で開発した音声とマルチタッチによるマニピュレータ操作インタフェースのソフトウェアを一部変更した新しいインタフェースを試作した。 操作の効率を検討した結果、7自由度のマニピュレータを1または2自由度ずつ操作するタッチ操作のみでは、ボタンによる操作に比べて大幅な効率化は難しいという結論を得た。したがって、タッチ入力の種類を増やし、モード切替をなくすだけでは、特に熟練者においては作業効率の大きな向上は望めない。しかし、タッチ操作に音声を加えることで、3自由以上の操作と入力の多重化を行えば、作業時間を短縮することが可能であると考え、考察を行った。また、直感性について考検討した結果、スライドジェスチャによる回転操作が他の操作よりも直感性が低く、覚えにくいという結論を得た。したがって、回転はスライド以外のジェスチャと音声で行う方法を考案する必要がある。 試作したシステムでは、2点タッチと3点タッチの回転ジェスチャによって、2種類の回転が行える。これらは、回転軸のイメージが容易で、特異点が生じないことから、スライドジェスチャよりも容易であると考えられる。しかし、現状では、3種類の回転を行う直感的なジェスチャの組み合わせがみつかっていない。試作したシステムでは、指先の移動速度によってマニピュレータの動作速度を指定すること、指先の移動によってグリッパの移動方向を変更することができる。これらは、ジェスチャによって移動方向を正確に伝えられなくても、ジェスチャをやり直す必要がないことから、作業効率の向上につながるものと考えられる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究成果に基づいてマニピュレータ操作の効率と直感性を考察した結果、当初計画していたスライドジェスチャによる回転操作に弱点があることが判明したまた、モード切替を減らす方法以外にも、効率向上の方法が有効であるという見通しを得た。以上から、「音声と片手指先タッチ入力による新しいマニピュレータ操作インタフェースの設計」に時間をかけることとし、「タッチ点の指を区別する新しいタッチ入力検出モジュールの開発」は、遅れている。「ハンドの移動方向の変更と位置調節が可能なインタフェースの開発と評価」についても、多数の初心者による評価を行っていない。しかし、有用なインタフェースの設計に関する考察が進んだことから、「音声と片手指先タッチ入力による新しいマニピュレータ操作インタフェースの開発」を行う上での研究の進捗の遅れは、大きいものではないと考える。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の着想のみにとらわれず、さまざまな操作方法を検討し、評価する方針である。作業の効率を向上させるためには、モード切替を減らすこと、自由度の多い操作を取り入れること、マニピュレータの動作中にユーザの入力を行えるようにすること、複数の操作を多重化し、同時に行えるようにすること、入力に対するシステムの応答時間を短くすることが重要であると考えられる。以上を考慮し、新しい操作方法を考案し、一つずつシステムに組み込んで試していくという方策をとる。まず、新しい操作が問題なく行えるかどうかを確認する。必要であれば、時間を計測することにより、効率低下の要因が取り除かれているかを確認する。さらに、新しい操作が直感的で覚えやすいものかどうかは、初心者の操作の観察と意見聴取によって個別に確認する。個別の操作の評価に加えて、初心者向けの操作体系の検討を行い、短時間で学習可能かどうか、混同しやすい操作がないかを確認する。実際に作業の効率が初心者と熟練者でどうなるか、初心者と熟練者の違いは何か、などを確認するために、作業時間の計測も行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年4月からの海外派遣の準備のため、計画していた平成29年3月の海外出張および学会参加を取りやめた。システム開発の計画を変更したため、計画していたノートパソコンの購入を延期した。平成31年度のに、海外出張費、学会参加費、論文校閲料、論文投稿料、物品購入費として使用する。
|