研究課題/領域番号 |
17K00284
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
井上 亮文 東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 准教授 (50386778)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ゲーム体験 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、仮想世界中の物体の形状と常に同じ形状へと変形するインタフェースの開発と評価である。当該年度では、前年度に開発した基盤ハードウェアの改良と、実験・評価用アプリケーションの開発を実施した。 ハードウェアに関しては大きな進展が見られた。これまでの結果から、筐体の精度および強度に問題があることがわかっていた。この点が今後の評価実験や展示に大きな影響が出ることが考えられたため、当初予定していた評価実験に優先して取り組むこととした。結果として、後述の国際会議での展示に耐えうるものを開発することができた。 アプリケーションに関しても大きな改善をすることができた。これまではハードウェアの開発を優先していたため、ソフトウェア部分は二の次となり、小さなディスプレイ上で遊ぶ簡単なゲームしか作っていなかった。これでは提案システムの効果を伝えられないと考え、大画面での見栄えがするゲームを開発した。結果、国籍やゲーム経験の有無を問わずに本システムの特徴を理解できるコンテンツを作成することができた。 対外発表は、国内シンポジウムでの口頭発表1件、国際会議での口頭発表1件に加え、予算の前倒しで国際会議でのデモ展示1件を実施した。当初は国内シンポジウムのデモ展示および論文誌投稿を予定していたが、著名国際会議が年度末に日本で開催されるとのことで、方針を転換した。結果として、100名以上の参加者にシステムを体験してもらい、本研究の成果を国内外に広く知らしめることに成功したと共に、貴重なフィードバックを多く得ることができた。 本年度に開発したシステムの様子はYouTubeで公開している。 https://youtu.be/5oI3ricPc6U
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施計画と同等かそれよりも進んでいる項目、若干遅れている項目の双方があり、総合的に「概ね順調」と判断した。 まず、計画よりも進んでいる点について述べる。ハードウェアに関しては、試行錯誤を繰り返した結果、安定して動作をする強度・精度を持ったものを実現することができた。アプリケーションに関しても、この1年間で、展示や実験に耐えうるクオリティのものを実現できた。評価実験においても本システムの有意差を確認できている。 次に、計画よりも遅れている・異なる点について述べる。当初はARアプリケーションの開発も検討していたが、本年度は実施をしなかった。理由は先述の概要にあるように、国際会議でのデモ展示用の開発を優先したためである。このシステムはVRヘッドセットを使わない分、より多くの人に簡易に本システムの特徴を体験してもらうことができる。結果として、良い方向転換ができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の実施項目は、(1)評価方針の選定、(2)評価用システムの設計と開発、(3)評価実験、(4)デモ展示およびまとめ、の4つである。
このように、本年度は主に評価とその成果のまとめが中心となる。これまでの研究開発において、評価に耐えうるハードウェアを実装することができたため、これらを用いた実験を2019年度前半に実施し、成果を投稿する予定である。
同時に、ハードウェアおよびソフトウェアのブラッシュアップを継続し、本研究課題の成果を論文以外にも積極的に公開できるよう進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画になかった2019年3月の国際会議発表をするため、2018年11月に次年度予算から前倒し請求した。しかし、その時点で会議の参加費などの金額は発表されていなかったため、概算で200,000円を請求した。余剰分は、その後に発表された金額との差分である。この余剰分は、国際会議発表の代わりに延期をした論文誌への投稿・掲載料に充当する。それ以外の2019年度予算は、当初の予定通り、サーボモータなどの消耗品費と大概発表の参加費・旅費として使用する。
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