研究課題/領域番号 |
17K00316
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研究機関 | 横浜商科大学 |
研究代表者 |
浮田 善文 横浜商科大学, 商学部, 教授 (70308203)
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研究分担者 |
斉藤 友彦 湘南工科大学, 工学部, 准教授 (50464798)
松嶋 敏泰 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30219430)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 実験計画法 / 機械学習 / 符号理論 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、複数目的に対する効率的同時実験を実施可能な新たな実験計画法を創成し、ベイズ理論による実験計画法におけるデータ収集コスト最小化アルゴリズムの導出及びその性能評価を行うことである。今年度は、コスト最小化アルゴリズムのコンピュータへの実装に関する研究を行い、以下の成果を得ることができた。 1) 一般に、大規模な同時実験により、データ収集コストを下げることは可能となるが、求めるパラメータの数は多くなる。そこで、複素空間上のモデルを導入することにより、今回のパラメータ数の多い大規模な同時実験においても、フーリエ変換を利用した効率の良いパラメータ推定が可能であることを示した。 2) 前年度の研究成果で、実用面でも広く利用されている直交計画について、複素数を用いる基底関数に適用する場合の性質は既に明らかとなっている。そこで今年度は、複素空間上の線形基底関数モデルに対するプログラミングを実施することで、新たにパラメータ間の関係などの性質を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、研究実績の概要で述べた通り、パラメータ数の多い大規模な同時実験に複素空間上のモデルが適していることを示した。また、アルゴリズムの主要な部分については既にプログラミングを実施し、アルゴリズム全体の実装に必要となるモデルやパラメータの性質についても明らかにすることができた。 しかしながら、アルゴリズム全体の実装や性能評価にまでは至らなかった。この理由として、データ収集コストをより下げるために、研究開始時に想定していたよりも大規模な同時実験が望ましいことが分かり、大規模な場合に対応可能なアルゴリズムのプログラミングが必要になったためである。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、前年度までに得られた複数目的に対する効率的同時実験を実施可能な枠組みのもとで、ベイズ理論による実験計画法におけるデータ収集コスト最小化アルゴリズムのコンピュータへの実装及びその性能評価を行う。 ここで、ベイズ理論による実験計画法において、一般には事後確率の導出に時間がかかる場合が多いが、本研究では従来研究とは異なり、モデルを複素空間上の正規直交基底モデルで表現するため、ベイズ理論による機械学習分野で得られている研究成果の多くを利用することが可能である。実験計画法においても機械学習と同様にベイズ線形回帰モデルを定式化し、事後分布の解析的な導出が可能であることがこれまでの本研究成果により明らかとなっている。また、実用面でも広く利用されている直交計画を利用する場合について、事後分散などの性質も明らかとなっている。さらに、アルゴリズムの主要な部分については既にプログラミングを実施している。 今後、これらの研究成果をもとに、符号理論及びフーリエ解析の視点を更に取り入れることで、ベイズ理論による実験計画法における直交計画を用いたデータ収集コスト最小化アルゴリズムのコンピュータへの実装及び性能評価を行う。最後に、得られた結果について多方面からの考察を行い、他分野への拡張性を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 参加を予定していた学会をキャンセルする必要が生じたため。また、開催を現地開催からオンライン開催に変更した学会があったため。 (使用計画) 本研究で得られた成果の発表及び他分野への拡張性の調査のために、国内外の学会に積極的に参加する予定である。次年度使用額はこのための予算として計上する。
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