| 研究課題/領域番号 |
17K00317
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| 研究機関 | 愛知工業大学 |
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研究代表者 |
伊藤 暢浩 愛知工業大学, 情報科学部, 教授 (40314075)
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| 研究分担者 |
岩田 員典 愛知大学, 経営学部, 教授 (80367606)
河辺 義信 愛知工業大学, 情報科学部, 教授 (80396184)
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| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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| キーワード | マルチエージェントシステム / 資源割当問題 / 分散制約最適化問題 / 3D視覚化システム / 災害救助シミュレーション |
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| 研究実績の概要 |
本研究では，災害救助に関する研究を支援するために，災害救助戦略に必要なアルゴリズム群の活用及び応用と実験評価が容易で，更に実験結果を3D視覚化可能な開発実験評価の統合環境を設計・開発することを目的としている．
今年度の成果の1つ目は，災害救助問題の主要課題の1つである資源割当問題を階層型分散制約最適化問題としてモデル化し，災害救助ロボット群の災害救助戦略として実現したことである．この研究の意義は，災害救助問題の部分問題である「資源割当問題」の見直しと統合環境を用いた災害救助戦略の改善である．能力の異なる災害救助ロボットで救助活動をおこなう際には，単に災害救助タスクにロボットを割り当てるだけでなく，その割り当て順序が重要であることを示した事である．また，この割当順序の決定には，災害救助シミュレーション固有の評価関数の見直しを必要としたため，統合環境を活用して，正常動作に至った．この研究を通して，「開発実験評価の統合環境」の利便性を確認できた．
今年度の成果の2つ目は3D視覚化システムに，災害救助シミュレーションの要素(災害救助ロボットや災害など)を選択表示できる「フィルター」と，シミュレーションの進行状況を操作できる「時間操作」，更に各シミュレーション要素の詳細を個別に確認できる「詳細表示」を導入したことである．この成果により災害救助部隊の動作確認を詳細におこなうことができ，導入した災害救助戦略の問題点を調査できるようになった．本研究課題の「統合開発環境」として，開発から見直し，再開発へと続く研究開発の循環を踏まえると，大変重要な成果である．
これまでに，災害救助問題を対象として，開発環境のフレームワーク，大規模なシミュレーションを可能とするクラウドシミュレーション可能な実験管理システム，3D視覚化可能な開発・評価視覚化システムの全てがおおよそ動作可能となった．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の3つの課題である課題1「災害救助問題を構成する部分問題群の関係・構造を検討」，課題2「提案手法を容易に適用可能な開発環境の設計・実装」，課題3「3Dビューワによる実験評価環境の設計・実装」については予定していたスケジュール内で順調に進展した．
今年度は課題3の実験評価環境についてVisual Analyticsの観点から改良をおこない，災害救助シミュレーションの要素(災害救助ロボットや災害など)を選択表示できる「フィルター」と，シミュレーションの進行状況を操作できる「時間操作」，更に各シミュレーション要素の詳細を個別に確認できる「詳細表示」を導入したことである．この成果により災害救助部隊の動作確認を詳細におこなうことができ，導入した災害救助戦略の問題点を調査できるようになった．これにより開発の見直しが容易となり，継続的な利用を支援できるようになった．
また同システムを活用して，災害救助問題を階層型分散制約最適化問題としてモデル化，実装したプロトタイプの災害救助ロボットプログラムの改良をおこなった．災害救助問題には，1.瓦礫を除去して2. 救助をおこない，3.搬送をおこなうなどの順序があるため，その順序を階層として考慮し，分散制約最適化問題を解くことが重要である．そこで昨年度，この問題を解決できるようBinary MaxSumアルゴリズムをベースにプロトタイプを実現したが，適切な順序を決定するには，災害救助シミュレーションの特性に合わせた評価関数の再設計が必要となった．そこで，今年度の成果である視覚化システムを用いて問題を特定し，改善に至った．
本課題のシステムはおおよそ完成したが，誰でも便利に利用できるようにするにはチュートリアル等の充実が不可欠である．また，今後の改良を考慮し，システム全体をオープンソースとして公開する必要もあるため，残り部分の公開の準備を進める．
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| 今後の研究の推進方策 |
主にこれまで延期となった成果発表及び，それに伴う評価をおこなっていく予定である．また拡張をおこなった開発環境と実験評価システムについて，専門家によるレビューや，提供した競技会で得られたコメント，経験に基づいて改良を加え，その成果についても発表を目指す．今年度の研究詳細については以下の通りである．
課題1「災害救助問題の検討」については，災害救助問題の依存関係を考慮し，階層型分散制約最適化問題として災害救助問題を解決する取り組みを中心に，分散制約最適化問題を進化計算を用いて解決するアプローチに注目し，資源割当問題を，より現実に近い条件，すなわち部分観測，確率的な環境下で動作可能となるよう研究を続ける予定である．
課題2「開発環境の設計・実装」については，上述の研究を遂行できるよう，これまでの分散制約最適化問題用モジュール等の必要な拡張について設計，実装をおこなう予定である．また，この実装について，研究会や競技会等によりできる限りの評価をおこなう予定である．
課題3「実験評価環境の設計・実装」については，昨年までにわかった問題点を解決し，より完成度を上げていく予定である．また複雑な問題を解決するためには，シミュレーション中の各人工知能ロボットの動作について追跡，確認する必要があるため，これを視覚化できるように拡張する計画である．これにより，これまでより効率の良い開発環境を目指す計画である．
また本研究課題の「開発実験評価の統合環境」全体が動作するようになってきたので，チュートリアルなどの資料を準備と公開，パッケージとして動作させるための見直しとオープンソースとしての公開をおこなうなど，より利便性の高いシステムとなるように準備をする予定である．
以上のように，コロナウィルスの影響により研究期間を延長することにはなったが，当初の予定よりも拡張して研究を遂行する予定で進めていく．
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| 次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により，予定していた成果発表とそれに伴う評価を実施不可能であったため，令和5年度(2023年度)に実施する計画である．
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