研究課題/領域番号 |
17K00331
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
渡邉 真也 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (30388136)
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研究分担者 |
廣安 知之 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (20298144)
榊原 一紀 富山県立大学, 工学部, 准教授 (30388110)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 進化型多目的最適化 / 看護師勤務表作成問題 / ヒューリスティックス |
研究実績の概要 |
本年度は,探索過程の状況に応じて動的に内部パラメータを調整する進化型多目的最適化アルゴリズムの開発と,看護師勤務表作成問題など幾つかの実問題に対する応用において大きな成果を挙げることができた. 具体的には,進化型多目的最適化アルゴリズムの1つであるMOEA/Dにおいて探索状況に応じて適切に集約関数を選択するアプローチ(MOEA/D-ADAPT)を開発し,従来までの集約関数固定の場合に比べ優れた性能を示すことができた.また,看護師勤務表作成問題では数理計画法とヒューリスティクスを組み合わせた新たなアプローチを開発し,厳密性を有する複数の多様な解の導出を実現することができた. 上記以外の成果として,「リニア型エアロスパイクロケットエンジンの設計問題」に対する開発した高効率多目的最適化アルゴリズムの応用,申請者がこれまでに開発してきた非劣解分析ツールCIHSMの改良,超高次元最適化問題のための新たなヒューリステックスアプローチのための枠組みの開発,DIAL-A-RIDE-PROBLEM(乗り合いバス経路問題)において割り込み要求を含む突然の要望の変化二対応した効率的な数理計画アプローチの開発など本申請課題に関連する幅広い分野において大きな成果をあげることができた.特に,超高次元最適化問題のための新たな枠組みでは,元の次元(高次元)と完全に紐付けられた低次元空間で効率的に探索を実現するという画期的なアプローチに基づいており,この成果に基づくさらなる発展が期待できると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
探索状況に応じて探索戦略を切り替えるアルゴリズムに留まらず,動的に内部パラメータを調整するアプローチについても考案し,その有用性を確認することができた.また,アルゴリズムの応用についても,看護師勤務表作成問題,ロケットエンジン設計問題などにおいて当初の予定を上回る成果を挙げることができた. そのため,「当初の計画以上に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今年度までに開発したメタ戦略に基づく探索メカニズムは一定の成果を挙げることができたものの,実応用を考えた場合,まだ改良の余地が残っている.現時点では,下記に示す課題解決を目標に研究を進める予定である. (1)探索履歴情報のさらなる活用:変数依存性や多峰性といった問題の特徴を積極的に推定し,以降の探索戦略へ活かす方策を検討する. (2)初期設定点(既存の解候補)の有効活用:多くの実問題では,初期設定点が1つもしくは複数ある場合が多く,それらの初期点を探索に有効活用することが求められる.初期点を探索に効果的に活用するための方策について検討する. (3)初期解の質に起因する試行ごとのばらつき:評価に時間がかかる場合など,複数回試行を実施することが困難なケースにおいて,試行ごとのばらつきは致命的な問題となる.ヒューリスティックなアプローチにおいて初期点の影響を軽減するための方策について検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は,研究のため使用している計算機等の変え買えをせずに済んだため,当初の見込みよりも物品費にかかる費用が少なくなったため次年度使用額が生じた. しかしながら,次年度は複数台の計算機の買い替え,複数の英論文誌への投稿を予定しているため,次年度使用額はそちらへの予算として活用する予定である.
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