本研究の目的は、従来取り扱うことができなかった超巨大解空間を構成する組合せ最適化問題に対して、超大規模空間の探索に特化したアルゴリズムを開発することである。これまでに申請者は超大規模な2次割当問題及び最大多様性問題に対するアルゴリズムを開発してきた。本年度は、更に超大規模なバイナリー2次計画問題に対するアルゴリズムの開発を行った。バイナリー2次計画問題(BQP)は計算量理論においてNP困難な問題に含まれる組み合わせ最適化問題の一つであり、マシンスケジューリング問題やCAD問題など数多くの応用例がある問題として知られている。これまでに、BQPに対する数多くのメタ戦略を用いた手法が提案されているが、2次割当問題や最大多様性問題と同様に、ベンチマーク問題の規模を超える超大規模の問題に対する検討はほとんど行われていない。本研究において、これまでに超大規模な問題に対する効率的な近傍解探索法を提案してきたが、本問題では、これを初期解の生成に適用した。超大規模な問題では、限られた空間しか探索することができないため初期解の生成方法は重要になると考えられる。そこで、貪欲的に初期解を生成する方法と、ゲインの計算(近傍解と現在解の評価値の差)を同時に進めることにより、効率的により評価値の高い初期解を生成する手法を提案した。実験では、超大規模なBQPに対して、従来の貪欲法およびランダムによる初期解生成法との比較を行い、提案手法の有効性を示した。
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