研究実績の概要 |
近年, 畳み込みニューラルネットワーク(CNN) によってコンピュータによる物体認識技術は人間と同等の精度を実現できるようになった. 一方で, CNNで必要なメモリや計算のコストが増加しているが,計算性能が低い端末上でCNN を利用したいといった需要が増えている. そこで, CNN の高い認識精度を維持したまま, メモリや計算コストを軽量化することを目的として研究を行なった.軽量化手法の一つにプルーニングが挙げられる.これは特徴量算出に用いるパラメータの中で重要度が低いパラメータを削除することで,精度を維持しつつメモリや計算コストを削減する手法である. 従来のプルーニングでは,事前に決定した方策に基づいて削除するパラメータを決定しているが, その方策が必ずしも最適とは言えないことが考えらえる.そこで本研究では,強化学習を用いてCNN の精度を維持しつつ,最適なプルーニング対象のフィルタを決定する手法を提案した.また,開発した提案手法に改良を加えながら,小規模訓練データセットに対する学習実験を行った. 画像データセットにMNIST,アーキテクチャにVGG13を用いた実験の結果では,精度の悪化なしに,98.8%のパラメータを削減することができ,精度,圧縮率ともに既存手法よりも良い結果を示した.画像データセットにCIFAR10,アーキテクチャにVGG19を用いた実験の結果では,テスト精度の悪化はなかったが,十分にパラメータを削減することができなかった.
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