研究課題/領域番号 |
17K00340
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
相田 敏明 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 講師 (60290722)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 圧縮センシング / 疎表現 / スパースコーディング / 画像処理 / 物理 / レプリカ法 / ベイズ |
研究実績の概要 |
本研究は,圧縮センシングによる画像処理の為の辞書行列(画像辞書)の従う確率分布の表式を明らかにし,それを応用して,普遍的かつ実用上重要な“画像の複雑さ等に対する画像辞書サイズのスケーリング則”を導出すると共に,画像辞書を高速に生成可能にすることを目的としている. 具体的には,今年度は特に“確率分布からの画像辞書の高速生成”というテーマの研究を計画していた.しかし,昨年度から継続中の“画像辞書サイズの従うスケーリング則の解析的評価”という,より重要な課題が解決していないため解析を継続した. 今年度も,画像生成モデルとして“最近接近傍相互作用を有するガウスモデル”を仮定し,統計物理学のレプリカ法を応用した解析的性能評価を実行した.画像サイズと画像辞書内の基底ベクトル数の比を一定に固定して,両者が共に非常に大きい漸近的な状況の下で,画像処理性能を決定するパラメータ群を同定した.また,それらの満たす非線形連立方程式を導出した.今年度は特に,以前は数値的にしか得られなかった解を解析的に得ることに成功し,昨年度得られた結果の一部修正が必要なことが判明した.その結果,“画像の複雑さ等に対する画像辞書サイズのスケーリング則”について,疎性パラメータの1次の摂動レベルまで導出に成功した. 上記の研究成果は,物理学会の秋季大会と年次大会,および,国際会議International Congress of Mathematical Physics 2018(ICMP2018)と2018 18th International Conference on Control, Automation and Systems (ICCAS2018)を中心に発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
圧縮センシングによる画像処理の解析的性能評価を,統計物理学のレプリカ法を応用して実行した.画像サイズと画像辞書内の基底ベクトル数の比を一定に固定して,両者が共に非常に大きい漸近的な状況の下で,画像処理性能を決定するパラメータ群を同定し,それらの満たす非線形連立方程式を導出した.これら非線形連立方程式の解析解の,漸近形の導出は大変困難であったが,ようやく解決に至った. 上記に時間を要したため,現状では,他の課題への着手が若干遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の未解決課題である(1)“エッジを生成可能な画像辞書の従う確率分布”の作成については,画像生成モデルとしてガウスマルコフ確率場モデルを採用して解析を行う. また,今年度の課題である(3)“確率分布からの画像辞書の高速生成”については,再生性を有する多変量確率分布関数を中心に,どのモデルが画像生成モデルとして適しているかを数値的に調査する.
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に物理学会と国際会議へ合わせて出張し,学会への行きの交通費と1泊分の宿泊費のみを科研費から支出したため,旅費の支出額が予定よりも少なくなりました. この剰余は,来年度の研究成果発表のための,旅費として使用致します.
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