研究課題/領域番号 |
17K00348
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
池口 徹 東京理科大学, 工学部情報工学科, 教授 (30222863)
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研究分担者 |
島田 裕 埼玉大学, 理工学研究科, 助教 (50734414)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 複雑ネットワーク / 非線形力学 / ネットワークダイナミクス / カオス |
研究実績の概要 |
本研究課題は,現実世界に遍在する種々の複雑現象を,時間発展するネットワーク (テンポラル・ネットワーク) の立場から捉えるため,複雑ネットワーク理論と非線形力学系理論を融合した新しい理論ーネットワーク・ダイナミカル・システム理論ーを,新規に構築することにある. 具体的には,研究代表者らが提案したネットワークのコミュニティ構造に着目したネットワーク間の新しい距離を用いることにより,これを実現する.本研究で創生するネットワーク・ダイナミカル・システム理論を用いることで,従来までは解決が困難であったネットワーク時間発展に関する理論が構築されるだけでなく,近年,ビッグデータとしても注目を集めている超高解像度の大規模時空間ネットワークデータを有効活用する新しい枠組みが誕生する. 今年度は,本課題で用いる複雑ネットワーク間の距離に関する再検討を行い,その理論の精度向上に注力した.これにより,より強固な基盤の実現を可能とした.また,実データの一例として,言語ネットワークを対象とし,その際特に,従来まで注目がほとんどされていなかったアジア系の言語を導入することで,種々の知見を得ることができた. また,複雑ネットワーク上での情報伝播に関する検討も行った.その際従来提案されていたネットワークモデルが不十分であることを明らかにし,スモールワールド性とスケールフリー性を同時に実現出来る新しいネットワーク構造を生み出せるモデルも提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論構築の段階ではあるが順調に進んでいると考えられるため.
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今後の研究の推進方策 |
現状のネットワークダイナミカルシステム理論に関する数理基盤構築をさらに推し進めるとともに,今後は,実データへの応用についても検討を始める.実際のネットワークデータは,現在のコンピュータシステムの発達に伴って様々なものを取得できるようになっている.研究課題提案当初は,それまでに公開されている時間発展を伴うデータを対象とすることを想定していたが,上記の理由により,対象を広げることを考えている. これにより,より様々なダイナミクスを有するネットワークデータを対象とすることが可能となる.これにより,提案するネットワークダイナミカルシステム理論の基盤構築に対してもフィードバックをかけることが可能となると考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は,理論構築に主眼をおいて研究を遂行したため,当初予定の数値計算による検証,検証結果の学会発表に対する経費を第2年度において行うために次年度使用額が生じた.
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