研究課題/領域番号 |
17K00352
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30511711)
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研究分担者 |
仲川 勇二 関西大学, 総合情報学部, 教授 (60141925) [辞退]
折登 由希子 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (60364494)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 部分パレート探索 / 大域的探索 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,多目的最適化問題において多く見られる入り組んだ形状のパレート最適解を均一かつ高い精度で近似する汎用性の高い探索手法を開発することである.具体的には,探索すべきパレートフロントを複数に分割し,各部分パレートフロントを精度よく探索する多目的遺伝的アルゴリズムを開発することである.2019年度に得られた知見から,当初の目標であった目的関数空間での分割から,設計変数空間での分割に方針を改め,設計変数空間上の各部分におけるパレート最適解の探索性能の向上を図ることとした. 2020年度は,各部分設計空間において,入り組んだ形状,かつ大きな広がりを持つパレート最適解を有する問題での多目的進化計算の挙動を解析するため,NKモデルに基づくベンチマーク問題を作成した.NKモデルは,目的関数の局所景観の複雑さを表現できるビットの問題であり,変数間依存の強さにより,パレート最適解集合の設計空間上での広がりを調節できる.ここでは,種々の変数間依存強度を有する多目的NKモデルを作成し,列挙法によりすべての大域的パレート最適解を導出した.そのもとで,代表的な多目的進化計算手法の一つであるNSGA-II (Non-dominated Sorting Genetic Algorithm II) を採用し,どのように最適解が求まるか検証した.その結果,変数間依存強度が低い例題,高い例題いずれにおいても限られた最適解しか得られず,十分大きな母集団で多様性を維持した状態であっても,探索が停滞し,大域的パレート最適解全体を得るのが困難であることがわかった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
部分設計空間における多目的進化計算の大域的な探索挙動を検証するため,パレート解集合の複雑さの度合いを調整できる例題を複数作成し,それらの大域的パレート最適解を導出した.これにより,最適解が導出される過程の分析のもと,既存手法の問題点を洗い出すことで,例題の難しさに対する手法の改善指針が得られると期待できる.以上より,2020年度はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
変数間の依存強度が低い例題,高い例題いずれにおいても,問題規模に対して十分大きな母集団で,多様性を維持した状態であっても,探索が停滞し,限られた大域パレート最適解しか発見することが困難であることがわかった.とくに,依存の強度が低い例題においては,大域的パレート最適解どうしの距離が小さく,比較的限られた空間に存在しているにも関わらず,すでに得られている最適解に極めて近い位置にある最適解の発見にも失敗している.一つの原因として,すでに得られている最適解(あるいは良好な解)が,周辺の解の選択を妨げ,近傍探索性能が低下していると考えられる.次年度の課題として,交叉の改良に加え,選択を含めた母集団の形成方法について改良が必要であると考えている.また,大域的探索性能の向上については,さらなる空間分割等の戦略を採用する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
計算機を購入する予定であったが,他所で計算環境を引き続き借りることができ,購入を見送ったこと,また,コロナ禍のもと,共同研究者と直接ミーティングが実施できず,旅費として使用しなかったため,次年度使用額が生じた.次年度は,研究成果報告のための簡易なノートパソコンを購入する予定である.
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