研究実績の概要 |
グラフを個体としたグラフカーネルを用いた分布推定アルゴリズムEDA-GKの拡張を行う.従来,グラフを個体とした進化アルゴリズムでは,遺伝子型から表現 型への写像が凸凹してしまうために,良い性能を出すことが難しかった.本研究課題で;は,アルゴリズムの適用範囲を広げることを目標として研究に取り組む.従来提案されてきたEDA-GK では分布推定に用いるグラフカーネルとして,グラフから最短パス距離の頻度を抽出するShortest-path Graph Kernel を利用してきた.しかし,このグラフカーネルを利用すると特定の条件の下で探索精度が落ちるという懸念があった.そこで本研究では新たに,EDA-GK の分布推定に従来とは異なるグラフカーネルを導入した.具体的には,グラフからサブツリーの頻度を抽出するWeisfeiler-Lehman Kernelを導入し,さらにShortest-path Graph Kernel とWeisfeiler-Lehman Kernel を組み合わせたMixture Kernel を提案した.実験では,EDA-GK によって多様な構造のグラフを導出できることを示すため同型グラフ探索問題に手法を適用し,分布推定に用いるグラフカーネルごとに性能を比較・評価した.さらに,適応度関数の設定次第で様々な探索問題に適用可能であることを示すため,情報の伝搬拡散に優れたネットワーク構造を導出する固有値最大化問題に手法を適用し,同じくグラフカーネルの違いが探索精度に与える影響を評価した.伝搬拡散に優れたネットワーク構造を導く固有値最大化問題に手法を適用し,同様に新しく導入したグラフカーネルの方がより良好な解を導出できることを示した.また,既知の構造のネットワークよりもさらに伝搬拡散に優れたネットワーク構造の導出が可能であることも示した.
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