橋梁やダムなどのコンクリート構造物の維持管理の重要性が高まってきており,維持管理作業を迅速かつ高精度に実現可能なロボット技術の実用化が望まれている.近年はドローン応用が検査業界では活発となっており,橋梁検査をドローン技術を用いて点検する手法が試みられているが,橋梁は常に風の影響が大きく,安定した検査を実現するには技術的課題が多く残されている. 本研究課題では,点検車両などを使用せず,交通規制等も行わず,橋梁の床版裏と橋脚を離れずに移動可能な画像検査ロボットを開発した.風などの外乱環境においてロバストな移動を実現するために,風速センサの開発と,風速に応じて押し付ける強さを制御する手法を提案し,最大7m/s の風速環境下での安定した移動を実現した.また,移動時に常にコンクリート表面と正対して撮影可能な画像センサの取り付け機構を開発し,コンクリート表面の画像取得実験を行った.実験より,ロボットが移動しながらブレずに画像獲得が可能であることを確認し,提案ロボットの撮影機構の有効性を検証した. 今後は,ドローン型の検査ロボットの課題として,作業継続時間が短いことが挙げられる.そこで,有線ケーブル化による検査ロボットを検討し,適切なケーブルの延長制御や電力消費に関して検討が必要である.また,ロボットとコンクリート表面の接触面の摩擦係数等の改善を検討することで,必要とされる押しつけ力の低コスト化の実現等があげられる.
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