当該年度においては,研究期間最終年度として,昨年度までに整備した理論的基礎や手法を自律移動ロボットに実装し,屋外実験を通じてその有効性を評価することに重点を置いた.実験用の移動ロボットとしては車輪式と二足歩行式の実験機を開発し,それぞれに同種の外界センサ(3D-LiDAR)とナビゲーションシステムを搭載した.本研究の近接点にもとづくナビゲーション手法の優位性の一つは計算コストの低さであるが,組み込み用のシ ングルボードコンピュータに実装し,その優位性を確認した.屋外実験としてはつくばチャレンジ2019に加え,関西で実施された中之島チャレンジ2019へ参加した.短時間の計測走行による地図生成とそれを利用した自律走行が可能であることが確認でき,提案手法がある程度の完成度に達していることを確認できた.ただし,前年度に引き続き,センサの計測距離の短さから視野内に特徴点が検出できない地点が見られ,このような地点でロボ ットが自己位置を見失うことが多く見られた.計測距離の大きなLiDARを用いることも考えられるが,カメラを併用することでLiDAR特徴点の乏しい地点での視認性を補うことを今後検討していきたい.また,公園内では通行人が非常に多く,地図生成における移動物体検出・除去の重要性が改めて認識された.今回の実験では提案したループ検出や移動物体認識手法を適用することが時間的制約からできなかったため,今後は研究期間内に提案した手法を一つのシステムとして統合し,ユーザビリティを向上していく必要がある.また,上述の研究成果を学術論文にまとめ,投稿した(査読中).
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