研究課題/領域番号 |
17K00368
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
菅原 研 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50313424)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 動的安定 / 構造物構築 / 群ロボット / 適応機構 |
研究実績の概要 |
本研究は「多数のブロックが散在している空間において、群ロボットがブロックの運搬と、局所的な着脱を常に繰り返す中で、大域的に安定かつ発展的な構造物を作る」ことを目指している。当該年度に設定した研究項目は①基本構造設計手法の改良、②適応機構の導入、③予備的なロボット実験としていた。 ①基本構造設計手法の改良については、終端を有する形状の構造物においては2分木の考え方を応用することで、より見通しの良い設計手法を見出すことができた。また、構造を記述するルールについても自動生成するためのアルゴリズムや再帰的な表現の可能性を見出すことができた。一方で、ループ構造の表現やルールの最適化については問題を完全に解決するには至っておらず、次年度以降の継続課題となっている。 ②適応機構の導入については、物理的な外圧に対して構造物の厚みを増すことで適応とするアルゴリズムを構築することを目標としていた。比較的単純な外圧に対して適応的なふるまいを示す基本アルゴリズムを提案するに至っている。自己改変する仕組みについても基礎となるアルゴリズムを構築することはできており、より高度なものに発展させるための目途も立ちつつある。また次年度以降に実施することにしていた環境への積極的な働きかけにも着手することができている。 ③予備的なロボット実験については、数個のブロックを並べる実験を行う程度にとどまっている。ただし、構造設計手法と密に関係するものでもあり、実験だけを先行させた場合、のちに仕様変更が生じるとそこで不必要なロスが発生する可能性もあることから、当初の予定よりもペースを落として進めている。また、ロボットの構築に必要な基礎技術の向上も図ることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では大きく3つの項目を実行する予定であった。①基本構造設計手法の改良については、一定の進捗はあったものの、ループ構造の表現やルールの最適化についての問題を完全に解決するには至らなかった。②適応機構の導入についてはほぼ計画通りと評価している。③予備的なロボット実験については、アルゴリズムの開発との関係から当初の予定よりもペースを落として進めているため、評価としては遅れている状況にある。一方で、当初検討に含まれていなかったところでの新しい展開も見られたため、当初の計画に基づく限りでは、やや遅れているものの、研究全体としての進捗状況は良い状態にあると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
持ち越しとなったループ構造の表現やルールの最適化については、計画当初は想定していなかったアルゴリズム解析の専門家との交流により方向性が見えてきたという経緯がある。今後はその連携を強化することで本格的な問題解決を目指す。適応機構の導入については当初の計画通り、構造と機能を有機的に結び付けるべく、外圧に積極的に対抗するアルゴリズムの開発に向けて展開していく。実機実験については各種アルゴリズムの基本的な部分を速やかに確定の上、小規模な検証実験を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最も大きい理由は、実機実験への取り組みが大規模にならなかった点にある。実機を作成する上で必要となる物品費があまり必要とならなかったこと、および、実験補助の必要性を見込んで計上した人件費・謝金を使用するに至らなかったことが原因となっている。ただし、これらは不要なものではなく、次年度以降必要になる経費であることが見込まれるため、研究期間内で使用されていくことになる。
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