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2018 年度 実施状況報告書

連鎖パタンマイニングを用いた心電図異常検出

研究課題

研究課題/領域番号 17K00373
研究機関室蘭工業大学

研究代表者

岡田 吉史  室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (00443177)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード心電図 / 連鎖パタン / 異常検出 / 系列パタンマイニング
研究実績の概要

H29年度は,既存の連鎖パタンマイニング手法に改良を加え(以下,改良法),そのプロトタイプ・プログラムを作成した.改良法により,出現区間に重複の無いパタン群からなる連鎖パタンの抽出が可能となり,さらに,頻出パタン抽出の高速化アルゴリズムの導入により計算時間の大幅な削減が実現された.H30年度は,改良法の心電図データへの適用へ向けた準備として,1)心電図データ前処理プログラムの作成,2)改良法の問題点の分析・改善および性能評価実験を実施した.以下にその概要を示す:
1)心電図データ前処理プログラムの作成
心電図データの前処理プログラムとして,メディアンフィルタを用いたノイズ除去プログラム,トレンド除去プログラムを作成した.また,心電図のビート波形(P, Q, R, S, T波)を切り出すためのプログラムを作成した.
2)改良法の問題点の分析・改善および性能評価実験
H29年度の改良法に実装された頻出パタン抽出の高速化アルゴリズムでは,ノイズを含む系列データを対象とした場合に,頻出パタン抽出精度が大きく減少することが予備実験により明らかとなった.そこで今年度は,このアルゴリズムに修正を加えることにより,よりノイズに頑健かつ高精度なパタン抽出法を開発した.ノイズを含む人工系列データを用いた抽出精度評価の結果,以前の高速化アルゴリズムでは全く抽出できなかった頻出パタンを100%に近い精度で抽出可能となり,さらに計算時間を同程度に抑えられることがわかった.また,新たに開発されたアルゴリズムを改良法に導入し,連鎖パタン抽出精度を調べた結果,適合率・再現率ともに大幅に向上できることが示された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

H30年度の目標は,心電図データの前処理プログラムの作成および改良法の高精度化を行うことであった.プログラムはすでに作成され,性能評価実験においてもH29年度に作成したプロトタイプ・プログラムを大幅に超える性能を示すことが確認された.また,改良法を12誘導心電図のデータに適用し,抽出された連鎖パタンを目視で観察したところ,異なる誘導に跨る周期的な波形の連鎖を捉えられることが確認された.以上より,本申請の現在の達成度は,おおむね順調であると考えている.

今後の研究の推進方策

H31年度は,まず,健常者および心筋梗塞や不整脈などの心臓病患者の心電図データを,PhysioBankなどのオンライン公共データベースから取得する.続いて,H30年度に作成した改良法プログラムを,収集した心電図データに適用し,抽出精度および計算時間の観点から性能評価を行う.心電図における異常は同一の疾患であっても個人間でその形状が多かれ少なかれ異なるため,異常波形自体の時系列的特徴を捉えるのは難しい.そこで,心電図データにおける連鎖パタンすなわち複数誘導に跨って規則的に出現する正常波形領域を検出・マスキングすることで,異常波形領域を見つけるアプローチをとる.心臓病の種類の識別には,SVMやディープラーニングなどの機械学習アルゴリズムの利用を試みる.

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は,連鎖パタンマイニングの改良法に関する論文の準備が,次年度までずれ込んだため生じたものである.H31年度は,次年度繰り越し額と当該年度の助成金を併せて,上述の論文に関わる費用(英文校正費,論文掲載費など)に充当する予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Detection and localization of myocardial infarction based on a convolutional autoencoder2019

    • 著者名/発表者名
      Kaiji Sugimoto, Yudai Kon, Saerom Lee, and Yoshifumi Okada
    • 雑誌名

      Knowledge-based systems

      巻: 178 ページ: pp.123-131

    • DOI

      10.1016/j.knosys.2019.04.023

    • 査読あり
  • [学会発表] Discrimination of ECG Abnormality based on a Normal ECG Wave Model Implementing a Denoising Model2019

    • 著者名/発表者名
      Kaiji Sugimoto, Saerom Lee and Yoshifumi Okada
    • 学会等名
      IMECS2019
    • 国際学会
  • [学会発表] パタン出現の間隔と順序を考慮した連鎖パタンマイニングに関する研究2019

    • 著者名/発表者名
      李セロン,杉本階嗣,岡田吉史
    • 学会等名
      第14回日本感性工学会春季大会
  • [学会発表] 実数値の系列データを対象としたノイズに頑健な頻出パタンマイニング手法2018

    • 著者名/発表者名
      米谷柊太郎,杉本階嗣,李セロン,岡田吉史
    • 学会等名
      生命ソフトウェア・感性工房・而立の会合同シンポジウム2018
  • [学会発表] Convolutional Autoencoderを用いた心電図波形モデルの構築と病気診断への応用2018

    • 著者名/発表者名
      杉本階嗣,李セロン,岡田吉史
    • 学会等名
      生命ソフトウェア・感性工房・而立の会合同シンポジウム2018

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公開日: 2019-12-27  

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