研究課題/領域番号 |
17K00376
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
東海林 健二 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70143188)
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研究分担者 |
森 博志 宇都宮大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80538447)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 手描き線画 / 自動彩色 / 影とハイライト / 描画線抽出 / 線画領域分割 / 3次元手描き曲線 |
研究実績の概要 |
カラー写真を下敷きとしてユーザが手描きした線画に対し彩色を行い水彩画風の画像を生成する手描き線画彩色手法の拡張として,カラー写真と手描き線画彩色結果の差分画像から影とハイライト領域をそれぞれ抽出し,彩色線画に影とハイライトを自動付与する手法を提案した.さらに,評価実験により提案手法の有効性を確認した. 従来,手描き線画彩色手法はペンタブレット等の線画入力装置を利用する前提でプロトタイプシステムをPC上に実装し,手法の有効性の確認を行ってきた.しかし,このシステムは一人で1台のPCを占有するため,学校や施設等で多人数での同時利用を行うことは困難である.そこで,数種類のカラー写真を薄く印刷した画用紙複数枚をあらかじめ用意して,ユーザが画用紙を選び,その上に赤青黒等のカラーペンで線画を手描きし,スキャナやカメラで線画作品を入力して彩色結果を表示・印刷する方式を検討した.その結果,赤青黒以外に,ピンクや水色,白等のペンでも対応可能であることを確認した. 手描き線画彩色手法で描画線の外側は着色しない絵手紙風彩色を実現するため,対象物体や風景が閉じていない曲線で描かれていても,背景領域と物体領域を分離する線画の領域分割手法を新たに提案した.線画の領域分割についての研究は少なく学術的にも価値がある. VR空間で手描きした曲線に基づく3D形状生成手法を提案し,手描き線によるアートワーク作成支援対象を2次元イラスト・絵画から3次元形状まで広げた.まだ,システムとしては未完成である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書の計画では,影とハイライトの自動付与機能追加の実現と評価実験,絵手紙風彩色機能追加の実現と評価実験であった.これに対して進捗状況は,影とハイライトの自動付与機能の提案と評価実験,印刷した画像上に描いた線画の抽出手法の確立,入力線画を物体領域と背景領域に分ける領域分割手法の提案,手描き線によるアートワーク作成支援の新たな領域として,VRシステムでの3次元手描き曲線による3D作品の制作支援手法の提案である.絵手紙風彩色は評価実験まで至っていないが,一方,印刷した画像上に描いた線画の抽出手法の検討や,新たに3Dアートワーク作成支援手法の提案に着手している等,進捗に遅れと進みがあるため,平均的には計画通りと判断した.
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今後の研究の推進方策 |
入力線画を物体領域と背景領域に分ける領域分割手法を適用して,絵手紙風彩色機能を追加した手描き線画自動彩色システムを実現する.その上で,追加機能についての評価実験を行う. これまで,彩色結果画像は主にモニタで確認するに留まっていたため,画像解像度は一般のモニタ程度であった.しかし,彩色結果画像はモニタで鑑賞するだけでなく,印刷して配付や掲示するという利用方法も多いと考えられる.そこで,印刷品質の彩色結果を得るため,線画彩色システムの高精細化を目指す. VR空間で手描きした曲線に基づく3D形状生成手法を実装し,実装上の問題点を明らかにする.現在判明している問題点は,手描き3D曲線により,たとえば,ドーナツ形状を作成する場合,穴をどのように表現すればよいか等の凹物体表現法である.これに対しては,2種類のペン,3D表面を表すペンと3D形状の骨格を描くペンを用意して対処することを予定している.
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次年度使用額が生じた理由 |
線画彩色システムの追加機能について,評価実験を行うことができる状態に実装が進まなかったため,評価実験で必要となる機材や,実験補助の謝金の支出が出来なかった.次年度では,その分の使用も見込んでいる.
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