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2017 年度 実施状況報告書

目の調節機能計測技術を応用したぼんやり状態可視化技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K00382
研究機関岡山大学

研究代表者

早見 武人  岡山大学, 自然科学研究科, 講師 (60364113)

研究分担者 橋口 公章  九州大学, 大学病院, 講師 (80448422) [辞退]
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード水晶体
研究実績の概要

本研究では,日常生活の中で見られる何となくぼんやりしているという主観的な感覚を目の動きから客観的に得られる数値に変換することにより,人間の注意のメカニズムを解明することを目指している.本年度は,目の映像を録画し画像処理によって眼球運動ならびに瞳孔運動を計測するシステムを構築するとともに,ぼんやり感に関連が深いと考えられる水晶体の厚さの変化を捉えるための基礎的な検討を行った.
計測システムは刺激呈示部,撮影部,画像処理部で構成される.刺激呈示部は,実験協力者からの距離を変えて同じ視角を持つ視標を任意の明るさで呈示できる機能を持つ.これにより,散瞳剤を用いることなく対光反応によって瞳孔径を制御しながら視標を呈示することが可能である.撮影部は明るさ調節可能な円形の赤外線拡散照明と赤外線カメラで構成し,目の負担を抑えながら瞳孔ならびに照明が角膜に結ぶ角膜反射像,水晶体に結ぶプルキンエ第4像を含む目の赤外線映像の録画が可能である.画像処理部は録画した目の映像を構成する各々の静止画から瞳孔,角膜反射像,プルキンエ第4像それぞれの中心座標を算出し時系列として出力する.
水晶体の厚さの変化が,(1)角膜反射像-プルキンエ第4像間距離の変動,(2)目に白色光を照射したときの瞳孔径の変化の仕方,のそれぞれに反映され上記のシステムで計測可能であるかどうかを調べる予備的な実験を行った.その結果,(1),(2)のいずれの方法でも検出可能であると見込まれた.但し信号は微弱であるため,精度を上げるためにもう少し工夫が必要である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ぼんやりしているという感覚を視覚の情報処理が滞っていることに対する自覚であると位置づけたとき,眼筋の制御の遅れはこの感覚に対応する外部から観測可能な一現象であるといえる.水晶体調節は反射的に行われかつ不正確な制御結果を自覚できることから,ぼんやり感を客観的に捉える上では分かりやすい計測対象であるといえる.しかし,眼球の内部にある透明な水晶体の様子を自然な状態で非侵襲的に観察することは容易でなく,目標を達成するためには従来の計測技術の枠を乗り越える必要がある.
そこで今年度は,自然な状態で水晶体の厚さの変化を連続的に計測するための2種類の方法について検討した.(1)の方法は,古典的なプルキンエ第4像の位置から水晶体の厚さを見積もる方法を現代風にアレンジしたものである.(2)の方法は水晶体の厚さによる虹彩の粘弾性の変化を仮定した新しいアイディアによるものである.現状は予備的な実験の段階ではあるが,いずれの方法でも計測信号がノイズを上回っていると考えられ,現状の基本技術に基づいて計測技術を改善することで水晶体の厚さの変化を計測できる見通しが立った.

今後の研究の推進方策

今後は計測技術に改良を加えながら,計測結果に基づきぼんやり感と水晶体調節の関係についてモデル化を進める.外眼筋や脳の活動との関係についても検討し,多面的な表現によりぼんやり感の具体的なイメージを形成していきたいと考えている.

次年度使用額が生じた理由

今年度の旅費予算のうち研究分担者との打ち合わせにかかる費用については,研究分担者が年度途中で受給資格を喪失したことにより実施せず,新しい研究分担者との間で次年度に行うこととしたため次年度へ持ち越しとなった.学会発表にかかる費用については,計画していた学会発表を次年度に行うことにしたため次年度への持ち越しとなった.

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] ダブルプルキンエ法を用いた頭部非固定条件下での水晶体調節検出2018

    • 著者名/発表者名
      則長竜弥・早見武人
    • 学会等名
      第36回日本生理心理学会大会
  • [学会発表] 注視距離が直接対光反応に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      木村友洋・早見武人
    • 学会等名
      第36回日本生理心理学会大会
  • [学会発表] 垂直方向のサッカードにおける加速段階と減速段階の比較2018

    • 著者名/発表者名
      早見武人・松尾太加志・福田恭介・志堂寺和則
    • 学会等名
      第36回日本生理心理学会大会

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公開日: 2018-12-17  

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