研究課題
自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorder:ASD) は発達障害の1つで,主な症状として,対人関係の形成が難しい,ことばの発達に遅れがある,想像力や柔軟性が乏しく,変化を嫌うということがあげられる.ASDには有効な治療法が確立されていないものの,日常的に運動を行うことで運動能力の向上だけでなく,社会的スキルの向上を促し,ASDの症状を改善することが報 告されている.一方で,ASDはミラーニューロンシステム(MNS)と関わりがあることが知られている.ASD患者は行動の模倣時に健常者と比べて,ミラーニュ ーロン領域が比較的低い活性を示す傾向にある.神経心理学の分野では,MNSは,表情によるコミュニケーションと関連があるとされている.MNSの原理は,1990年代にRizzolattによって導入された.彼は猿が自ら行動した時と,別の猿が同様の行動をしているのを観察した時に,脳の類似の領域が活性化することを発見した.脳におけるこの領域をミラーニューロンという.また,人におけるMNSは機能的磁気共鳴画像法(fMRI)のデータを用いた実験によって確認された.近年,時空間脳波データ(STDB)やfMRIなどの時間特性と空間特性の両方を捉えることができるNeuCubeと呼ばれる脳を模した Spiking Neural Network (SNN)アーキテクチャが提案されている.NeuCubeは,STDBマッピング,学習,分類,視 覚化を行うためのプラットフォームである.本研究では,健常者と,継続的に運動をしているASD 患者,および運動をしていないASD 患者を被験者として,顔表情の知覚時と模倣時の脳波データを調べる.被験者ごとに顔表情知覚時と模倣時の脳波データの差分を計算,可視化することにより,ミラーニューロンの活動を確認する.
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ICIC Express Letters Part B: Applications
巻: 11 ページ: 601-606
DOI: 10.24507/icicelb.11.06.601
ICIC Express Letters, Part B: Applications
巻: 11 ページ: 691-696
DOI: 10.24507/icicelb.11.07.697