研究課題/領域番号 |
17K00386
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
石津 智大 自治医科大学, 医学部, 客員研究員 (50726669)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 審美的判断 / 身体醜形恐怖 |
研究実績の概要 |
自身の容姿のわずかな瑕疵に強迫的にとらわれる「身体醜形恐怖懸念」(以下、醜形恐怖)は、その一因として審美的な判断の仕組みに異常があると考えられる疾患である。この醜形懸念をとりあげ、審美的判断に関する脳機能研究のこれまでの成果を利用して、その脳内機構の解明を試みる。(i) 実験心理学的手法により、醜形恐怖が身体像の認知に限局された審美判断の問題であるか検証を行い、次に、(ii) 認知神経科学的手法(脳機能画像法、脳刺激法)により関連する脳部位を特定する。それによって醜形恐怖の脳内機構を解明することが目的である。本研究の被験者は、BDD-Syndrome Scale尺度により醜形恐怖懸念傾向があると認められた健常成人である。 まず、醜形恐怖が身体像に限局された審美判断の問題であるか行動実験を行った。実験方法は、Buhlmann ら(2010)の方法を基に改変した。すなわち、自己身体像、他者身体像、非身体像としての風景写真を実験刺激とし、審美評価を行わせた。そして、事前に健常群から得ておいた標準的な審美評価スコアと比較することで、各刺激条件の 醜形恐怖現象の生起率を検討した。現在までの解析では、醜形恐怖傾向高群では、先行研究のとおり自己身体条件で標準スコアより低い美醜評価が得られた一方、他者身体条件と風景条件とでは、標準スコアと同等であった。この結果は、醜形恐怖現象が身体像認知に選択的に現れることを示唆している。初年度の研究結果は、ビエナ大学で行われたカンファレンスにて発表した。 現在は、行動実験で確立した実験課題を用いて、その関係する脳活動を特定するため機能的MRIによる脳機能画像法実験を準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験心理学的手法で、身体醜形恐怖が身体認知に限局した現象であること確認し、その実験的手法を確立した。最初の実験結果をカンファレンスで成果発表した。ここで確立した実験手法は、続く次年度に予定している機能的MRIによる脳機能画像法実験で使われる。当該実験手法を含め、次年度で行う機能的MRI実験のための実験環境を整備した。 このように、行動実験、脳機能画像実験を並行して進めており、研究目的である身体醜形恐怖の脳内機構の解明に向けて、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の研究では、初年度で確立した行動実験課題を用いて脳機能画像実験を行い、身体醜形恐怖懸念傾向の高い被験者群に特異的に現われる脳活動を調べる。具体的には、審美的判断に関係する眼窩前頭皮質の活動変化とともに、情動処理に関係する前頭皮質の高次領域である背外側前頭前野、そして視覚的身体情報の処理を担うことがわかっている有線外視覚皮質の活動に注目する。これらの関心脳領域の各活動を観察するとともに、領域間の機能的結合をpsychophysiological interaction法を用いて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度で行う機能的MRI実験の施設使用料およびスキャナー使用料を本年度に支払う予定だったが、MRI施設のあるビエナ大学財務部から次年度に支払うように要求されたため繰り越した。 (使用計画) 繰越金は,当初計画の通り機能的MRI施設使用料に使用する。
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