身体醜形恐怖は、その一因として美的判断の仕組みに異常があると考えられる疾患である。神経美学の知見から、醜形恐怖の認知の特徴について検討した。定量的な行動実験手法を確立して実験し、醜形恐怖傾向の高い群では自分の身体像においてのみ低い美的評価がみられる一方、他者の身体像などでは対照群と差がないことがわかった。さらに、美的判断に強く影響する「他者の美的意見」の影響を調べた結果、身体像における美的判断は非身体像に比べて、他者の意見による影響を受けにくいことがわかった。醜形恐怖の認知的特徴を複数の実験課題によって検討することで、その定量的な病態理解の進展へ一定の貢献を果たした。
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