研究実績の概要 |
本年度もまた主に項目B「シグナル伝達の時空間シミュレーションよりGlu, DAシグナルが相互作用する空間範囲を明らかにする」について研究の進捗があった。昨年度までに、2D CNNを用いて電子顕微鏡画像からニューロン細胞膜のセグメンテーションを行い、3次元ニューロン再構築を行ったが、本年度、高性能な3D CNNに基いたセグメンテーション法 (FFN) が発表されたため(Januszewski, M. et al. Nat Methods 15, 605-610, 2018)、急遽FFNに切り替えてニューロン細胞膜のセグメンテーションを行っている。また、自動セグメンテーション後のプルーフリード(人手による補正)について、Harvard大学のRhoANA pipelineのプルーフリードソフトDojoに独自の改良を加え、プルーフリードのみならず教師セグメンテーションの作成も行えるようにした。これまでDojoの拡張や2D CNN, FNNの適用等、各種手法を併用しながら電子顕微鏡画像からニューロンの3次元再構築を行うと共に、それを実現するソフトウェアの開発を行ってきたが、同ソフトウェアの蓄積が一定水準を超えたと判断されたため、ソフトウェア論文としてまとめて論文投稿を行った。同ソフトは、Pythonなどのプログラム技術を持たない実験家が、電子顕微鏡画像から3次元再構築を行うために非常に有効なツールとして仕上がっている。また、電子顕微鏡から三次元再構築されたスパイン形状に基づいて、4面体メッシュによるコンパートメント化を行った。さらに、プラットフォームシミュレータSTEPSを用いて細胞内Ca2+の反応拡散シミュレーションを開始した。
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