今後の研究の推進方策 |
APIと、APIを制御するPythonのバージョンをアップグレードしたことにより多数の人工知能のライブラリを結合することができるようになった。ニューラルネットワーク等を使ってLC-MSのピーク処理(エッジを決める積分)を自動化する試み(Woldegebried M et al, Anal Chem, 2017)などが報告されており、このような機械学習のライブラリを結合して、同様のアプローチを試みる。しかし、CE-MSの場合、LC-MSよりも更にデータの質は悪く、スタッキングコンディション(分子の分離の原則がLCと異なりサンプルとその周りのバッファーの電気抵抗の違いを利用している)に依存して、ピークの形状がガウス上にもならない。更に測定サンプルごとの移動時間の再現性が低い。後者を、ダイナミックプログラムを利用して補正関数を自動的に作成し、補正する方法は開発した(Sugimoto et al, Metabolomics, 2010)。しかし、大規模なデータの検証ではまだ不十分な点がみられ、ユーザがデータごとにキュレーションをしている。品質制御パラメータの感度解析を継続し、感度の高い変数から自動的に機械学習に修正させ、ユーザのキュレーションの基準を再現した目的関数を最大化する最適化問題に今後は取り組む。ピークの検出部分だけでなく、同様の手法は未知物質の同定(Allen et al, Anal Chem, 2016, Samaraweera et al, Anal Chem, 2018)などにも展開できる。データのプロセッシングだけでなく、その後の解釈部分も引き続き開発を進める。
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