研究実績の概要 |
筋疾患の原因の1つとして、FHL1遺伝子の変異が指摘されている。我々はFHL1タンパク質に関して、シミュレーションの手法により、野生型と変異型の場合の構造や動きを解析してきた。特に筋疾患が重症化するような変位において、亜鉛原子とその配位残基との距離と、4つの配位残基のα炭素からなる四面体の法線の内積に関係があることを示した。 これまでは変異が多くみられるドメインであるLIM2部分を中心に解析してきたが、LIM2単独、あるいは、LIM1+LIM2のシミュレーションは、LIM1, LIM2, LIM3全部の場合に比べて、LIM2部分の動きが大きくなる傾向がある。我々は2019年度は、LIM1, LIM2, LIM3を結合した場合のシミュレーションに関して検討した。FHL1タンパクのデータはProtein Data Bankより入手し、Modellerにより、LIM1からLIM3までのドメインをつなげた構造体を作成する。作成されたモデルで、シミュレーションを行い、RMSD (平均二乗偏差)などを求める。構造を見ると、LIM1とLIM2同士が接近して一部が水素結合する場合も見られた。 LIM3を結合することにより、LIM2の動きがある程度制限されると考えられ、LIM1, LIM2, LIM3を含むシミュレーションにおいて、RMSDなどを解析している。 さらに、適切な拘束をLIM2にかけることによって、LIM1やLIM3が両側にある効果をある程度取り入れることができるかどうかを調べている。 また、HSPB8(heat shock protein beta 8)のシミュレーションを開始している。
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