研究実績の概要 |
FHL1 タンパク質は筋肉の機能発現と成長に関わるタンパク質であり、変異によって遺伝性筋疾患を引き起こすことが報告されている。このタンパク質は2つのジンクフィンガー(ZF)をもつLIM ドメイン4.5 個が直列につながった構造を持ち、遺伝性筋疾患が報告されている変異の多くでLIM2 ドメインの配位残基が変異している。本研究では、野生型と既報のシステイン/ ヒスチジンからチロシンへの変異型(C104Y, H123Y, C150Y, C153Y) FHL1 からLIM2 ドメインを切り出したモデルにMD シミュレーションを行い、その結果を解析した。 本研究は、LIM2 ドメインの野生型(PDBID: 1X63)と変異型(C104Y、H123Y、C150Y, C153Y) について行なった。量子化学計算を用いて変異残基がZF と結合する結合モデルと結合しない非結合モデルについて亜鉛とその結合残基の力場を作成した。その他のアミノ酸残基にはAMBER99SB-ILDN 力場を使用した。それぞれのモデルについて、500 ns のMD シミュレーションを行った。各モデルのトラジェクトリのRMSDを求めた。C104Y の非結合モデルやC150Y の結合モデルにおいて、ZF の大きな構造変化が見られた。また、C150Y の非結合モデルではZF 自体は大きく構造を変えていないが、両方のZFでのRMSD は大きく増加することがあり、両ZFの位置関係が変化することがわかった。 またヒトのFHL1に加えて、ZebrafishのFHL1の計算が進行中である。
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