研究課題/領域番号 |
17K00421
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
宮下 尚之 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (20452162)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膜タンパク質 / レプリカ交換分子動力学法 / 粗視化モデルシミュレーション / 構造予測 / 分子動力学シミュレーション / アルツハイマー病 / 膜貫通部位 |
研究実績の概要 |
現状、概ね予定通り進んでいる。特にβ切断酵素の膜貫通部位のレプリカ交換分子動力学法を用いた構造予測は終了した。α切断酵素の膜貫通部位に関しては解析中である。従って、β切断酵素とα切断酵素の膜貫通部位の構造予測はほぼできたと見てよい。 レプリカ交換法は異なる温度を持つ複数のシステムの分子動力学シミュレーションをある時間実施し、それをメトロポリスクライテリアに従って、温度交換する方法である。この方法を用いることで、システムの評価関数の局所最小値に囚われる事をさけて幅広くシステムの構造をサンプルすることができ、統計処理することによりシステムが取りうる立体構造を予測することができる。今回のシステムは膜貫通部位で1本のヘリックス構造を取ることが予想されるので、比較的低温度範囲(300-500K)でのレプリカ交換分子動力学シミュレーションを実施した。 まず、本課題開始前の予備計算で、implicit solvent modelを用いた温度範囲300-500K、16レプリカのシミュレーションを、1レプリカあたり10ns実施し、本研究課題実施前に事前に構造予測をしていた。本研究課題実施において、平成29年度は温度範囲300-500Kで16レプリカを用いた構造予測シミュレーションを1レプリカあたり60ns実施した。ただし、平成29年度途中より、構造予測の信頼度を上げるための研究も実施している。特に、申請者らはレプリカ交換をより効率よくより少ないレプリカ数で構造予測する手法をプログラムに組み込んだ。年度後半から申請者らはその手法を用い、300-500Kの範囲を8レプリカでレプリカ交換分子動力学シミュレーションを実施し、既に予測した構造の再チェックを行っている。また、平成30年度に向けた粗視化モデル計算のプロトタイプ計算(動作確認)も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定では今年度はα切断酵素とβ切断酵素の膜貫通部位の構造予測を実施する事になっている。 実際に実施したこととして、β切断酵素の構造予測を実施した。またα切断酵素の構造予測計算の解析を実施中。レプリカ交換分子動力学シミュレーションプログラムの改良も実施した。また、改良したプログラムを用いて、β切断酵素の再チェックを実施している。これら実施した内容を考えると、概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はβ切断酵素の膜貫通部位の構造予測が終わり、α切断酵素の膜貫通部位の構造予測計算まで実施した。そこで来年度はα切断酵素の膜貫通部位の構造解析を終了させる。また、主にβ切断酵素の膜貫通部位の構造を使った粗視化モデルシミュレーションを実施する。α切断酵素に関しては解析を終了した後に予測構造が決まる。また、引き続きβ切断酵素の膜貫通部位を用いた粗視化モデルシミュレーションを実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた装置の価格が想定外に上昇し初年度に購入できなくなった為に次年度使用額が生じた。次年度に次年度予算と合わせての装置購入を考えている。また、次年度は、本研究課題に関して海外にいる研究協力者との必要不可欠なディスカッションを実施するために、その旅費にも予算を使用する。
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