研究実績の概要 |
本研究では,ツイートのような短い文章から書き手の感情,読み手が感じた印象,読み手が推測した書き手の感情という3種類の感性情報を抽出するための統合的な技術を確立することを目的とし,平成29年度は以下の研究を行った. まず,21,810人のインターネットユーザを対象とするアンケート調査Aを行い,一定以上の投稿頻度を有するヘビーユーザ5,610人と一定以上の閲覧頻度を有するヘビーユーザ8,922人を抽出した.次に,ヘビー投稿ユーザを対象とするアンケート調査B(回答者は1,108人)を行い,各回答者に新たなツイート(1~4個)を発案してもらうとともに,そのツイートに込めた感情を各基本感情に対する5段階評価という方法で入力してもらった.その結果,ツイートと基本感情との対応関係を示す2,786件のデータが得られた.なお,本研究で用いる基本感情は「喜び,好き,安心,悲しい,嫌い,怖れ,怒り,恥ずかしい,高揚,驚き」の10種類である. 次に,ヘビー閲覧ユーザを対象とするアンケート調査Cを行った.この調査では,各回答者(読み手)にアンケート調査Bで収集したツイートを読んでもらい,2,260人にそのツイートからどのような印象を感じたかを各基本印象に対する5段階評価という方法で,別の2,081人にそのツイートの投稿者(書き手)がどのような感情を抱いていると思うのかを各基本感情に対する5段階評価という方法で入力してもらった.その結果,ツイートと基本印象もしくは基本感情との対応関係を示すデータがそれぞれ200件ずつ得られた.なお,本研究で用いる基本印象は「攻撃的/不愉快,ネガティブ,感じの良い,楽しい/愉快,ポジティブ,ほのぼの,鬱陶しい,怖い」の8種類である. 以上の手順により得られたデータを分析することで,基本感情どうしや基本印象どうし,基本感情と基本印象の各組み合わせに対する対応関係を明らかにした.
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