研究課題/領域番号 |
17K00443
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
藤井 章博 法政大学, 理工学部, 教授 (40241591)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | IoT / RESTful Web API / WoT / セマンティックウェブ / SPARQLクエリ |
研究実績の概要 |
プラットフォーム間の相互連携が困難であるという問題は、「サイロ化」と呼ばれており、スマートホームだけでなく IoT システムにおいて解決すべき課題である。これに対して、World Wide Web Consortium(W3C)は、IoT システムに Web の技術を適用する、Web of Things (WoT)を提案している。 WoT ではこれらによって、異なる種類の機器間で相互連携を行うための統一的なインターフェースとデータ表現を実現し、サイロ化の解消が可能である。その際、利用機器の検索を行い、HTTPによる機器の操作に至る必要がある。これまでセマンティック・ウェブによるデータ表現が利用されている実装例は少ないが、IoT機器の機能の参照には必ず必要となる機能であると考え、18年度はこの実装を試みた。具体的には、一般的なIoTデバイスであるスマートスピーカを対象として、WoT仕様を実装したうえで機器の照に関してセマンティック・ウェブの機能を「質問応答システムとして」実装した。 質問応答システムとは、自然言語による質問を基に知識源となるデータベースを参照し、回答を得るシステムである。セマンティック・ウェブを利用した質問応答システムでは、データベースとして RDF データベースを利用し、参照する際に SPARQL を用いた検索を行う。また、セマンティック・ウェブを利用した質問応答システムでは、効率的な RDF データベースに対する SPARQL クエリ生成のために、人手によるオントロジーの解釈と SPARQL クエリへの実装を行うかわりに、自然言語処理の手法を用いた SPARQL クエリの自動生成を行うシステムを実装し、その評価を行った。 本成果は、研究代表者の指導の下で18年度法政大学大学院理工学研究科修士課程修了学生の修士論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学内業務により十分な研究時間が取れず、圃場を利用した実践的な成果を得るための十分な時間が割けなかった。一方、修士課程修了者一名の学位論文の執筆指導を通じて、本研究の理論的な枠組みを構築した。本研究で提案しているWoTアーキテクチャでは、Web API による機器操作の提供と,セマンティック・ウェブによる機器のメタデータ表現を行う。そこで、IoTの具体的な事例としてスマートスピーカによるIoT機器の制御を想定して、セマンティックウエッブ技術を導入して機器のメタデータ表現とWeb API による機器操作の提供を行うように工夫した。 具体的には、質問応答システムを実装した。質問応答システムとは、自然言語による質問を基に知識源となるデータベースを参照し、回答を得るシステムである。データベースとして RDF データベースを利用し、参照する際に SPARQL言語 を用いた検索を行う。また質問応答に際して、効率的な RDF データベースに対する SPARQL クエリ生成のために、人手によるオントロジーの解釈と SPARQL クエリへの実装を行うかわりに、自然言語処理の手法を用いた SPARQL クエリの自動生成を行う機能の実装を行った。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、3つの観点から課題に関する成果の達成を目指す。第1は、圃場における実践的システムの活用である。研究の新規性という観点からの意義は高くないが、今後スマート農業の研究を継続する上で重要なノウハウの蓄積となる。第2の点は、2018年度の成果で得られたセマンティックウェブ技術を活用したデバイスの制御方法をさらに発展することである。WoT:Web of Things における操作とは、HTTP プロトコルによるアクセスを利用することが基本である。そこで、質問応答システムが回答を生成するように、スマートスピーカーにおいて HTTP リクエストを生成する手法の提案を行った。提案手法では、WoTアーキテクチャで定義される基本語彙に対して、SPARQL で検索することにより、HTTP クエリを生成するのに必要な情報を収集する。そして、収集した情報を基に、HTTP クエリの JSON を生成する。この方法を圃場におけるIoTデバイスの制御に応用する実装を試みる。第3の課題は、ナレッジグラフの活用である。RDFによって記述される情報に推論処理を施すことで、いわゆる「強いAI」・「検証可能な推論」を志向する研究の重要性が高まっている。そこで、本研究課題を通じてこうした観点からの検討を試みたい。
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