研究課題/領域番号 |
17K00450
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松村 敦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (40334073)
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研究分担者 |
宇陀 則彦 筑波大学, 図書館情報メディア系, 准教授 (50261813)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 情報検索 / 情報推薦 / 主題 / 図書館 / 探索経路 / メタ認知 / 探索履歴 / セレンディピティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,リアル・オンラインのいずれの情報アクセス支援においても,そこに含まれる膨大な知識・情報の把握を支援することである. 今年度は,リアル図書館における情報アクセスの新しい支援手法を提案した.準備として,webページで公開されている公共図書館の展示資料リストの調査を行なった.展示資料を収集し,その図書館における分類番号をチェックした.その結果,ごく一部の分類の資料しか展示されておらず,知識・情報空間の把握には不十分であることが明らかとなった.そこで,ある主題に対して多様な分類番号の図書を選出し,実際の図書館内で指定した経路をたどって収集してもらう手法を考案し,実際に評価実験を行った.その結果,本手法によって利用者の資料選択の幅が広がったことが明らかになった. 一方,オンラインでの支援では,ページ遷移の可視化,メタ認知を促す支援,ジャンルの拡張によるセレンディピティの誘発,を行った.ページ遷移の可視化では探索経路をネットワーク状に表示した上で,探索キーワードと結びつけるシステムを実装し評価した結果,必ずしも回答が一つに定まらない不良定義問題において本手法が効果的である可能性が示された.また,メタ認知を促す支援では,検索者の行き詰まりを判断して発話をする擬似botと検索者の発話に対応して発話するbotを利用して検索実験を行なった.その結果,振り返りを促す傾向があることが示された.最後に,ジャンル拡張によるセレンディピティの誘発では,対象を子ども向け図書に絞った推薦システムを実装し評価を行なった.子ども向けの図書の場合はジャンルの定義が明確でないため,登場人物や絵の雰囲気をジャンルに見立てて拡張を行うアルゴリズムを採用した.その結果,登場人物という区分けが図書推薦の効果を上げていることが示された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画で予定していたリアル空間での手法の提案と評価に関しては,専門家による経路の実装部分を除いて実施できた.専門家による経路生成が実施できなかった理由は,当初予定していた公共図書館での利用者調査を大学図書館に切り替えたため協力を取り付ける時間的余裕がなくなったためである. 一方オンライン空間での手法の提案と評価に関しては,まずは感情面のサポートの実施を行わなかった.このことは,先行研究の結果よりメタ認知の支援を邪魔する可能性が示唆されていたからである.それ以外についてはおおむね順調に成果を出せている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度実施できなかった専門家による経路生成については,計画的に交渉して実施していく計画である.その上で,本年度の成果であるリアル空間での探索とオンライン空間での探索を結びつけていく方策を検討していく.
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次年度使用額が生じた理由 |
iPadを利用した実験を検討していたが,既有のものを利用したため購入する必要なくなった.ただし,既有のものはOSのバージョンの影響でアプリケーションの実行が難しくなる可能性があるため,システムの実装との兼ね合いで新規に購入することを検討している.
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