研究課題/領域番号 |
17K00453
|
研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
荻原 幸子 専修大学, 文学部, 教授 (60242137)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 公共図書館 / 図書館協議会 / Library Board |
研究実績の概要 |
平成30年度の取組みは以下の通りである。 ①昨年度に実施した,Webサイトの議事録の収集と分類の成果を踏まえて,分析の観点について検討するとともに,理論的な枠組みとして熟議民主主義(熟議システム論)に関する議論を整理した。熟議民主主義に関する議論は,「専修大学人文科学研究所月報(no.297)」に掲載された論文に活かされている。②①の過程において,図書館協議会に関する文献の記述内容を精査した結果,図書館法で規定された図書館協議会の設置条例にもとづく現状把握が必要であると判断し,都道府県と市を対象として「図書館協議会設置条例の有無」とともに,条例に示された「委員の任命基準」「定数」「任期」「その他」に着目した数値データを整理した。図書館法にもとづかない図書館(図書館同種施設)の扱いなど,数値データの示し方について有識者の助言を得た上で,次年度に日本図書館協会が刊行する「現代の図書館」への投稿を予定している。③6か所の自治体における図書館協議会の会議を見学して,委員間のコミュニケーション過程の実態を把握した。また,アメリカの図書館委員会(library board)の会議の状況を把握するために,ボストン公共図書館,シアトル公共図書館の議事録の収集と会議の見学をした。④2019年1月にシアトルで開催されたアメリカ図書館協会の冬季大会(ALA Midwinter Meeting & Exhibits)に参加し,United for Librariesのセッションにおいて,図書館委員会,友の会,財団に関する情報収集を行った。⑤2018年11月に開催された,新潟県公共図書館総合部門研究集会において,公共図書館運営に関する「住民との協働」の観点から,図書館協議会の意義等に関する研究成果の一部を発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度に持ち越した図書館協議会の見学を実施して,議事録分析における有意義な手がかりを得た。また,図書館協議会の設置条例に関する分析,及び,住民の関与を観点としたアメリカの公共図書館運営に関するガバナンス構造に関する研究成果をまとめることができた。最終年度である次年度に向けた成果発表の準備ができている。
|
今後の研究の推進方策 |
各自治体で開催される図書館協議会の会議の見学,及び,アメリカの図書館委員会等に関する情報収集を続行しつつ,図書館協議会の議事録分析の成果をまとめ,発表する予定である。併せて, ・図書館協議会の設置条例に関する調査結果の公表 ・アメリカの公共図書館運営に関して得られた知見にもとづく,日本の公共図書館運営における課題(図書館長と住民とのコミュニケーション過程,及び,住民によるアドボカシー活動)に関する口頭発表(日本図書館情報学会春季研究集会)と原著論文の投稿 を予定している。 これらの成果を踏まえて,図書館協議会の委員に対するインタビューも実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
図書館協議会の会議の見学,及び,アメリカの図書館委員会に関する情報収集において,日程調整が困難であったために一部を先送りしたことによる。 2019年6月に開催されるアメリカ図書館協会年次大会(ワシントン)における図書館委員会等に関する情報収集,及び,資料購入,成果発表のための翻訳・校閲費等に使用する。
|