研究課題
基盤研究(C)
公共図書館の運営に関する住民意思の形成に関して,日本の図書館協議会に関する条例・規則にもとづく実態調査と,アメリカの公共図書館運営に関する文献調査を実施した。その結果,都道府県と市区の約80%が図書館協議会を設置しており,委員の互選により選出された会長が,会議の招集や議事に関して重要な権限を有する立場にあると規定されていること,アメリカでは「図書館委員会」「友の会」「財団」の各主体において住民が図書館運営に関与しており,ガバナンス概念に適合した状況にあることを把握した。
図書館情報学
本研究の学術的な意義は,図書館サービスの「利用者」ではなく,図書館運営に関与する主体として「住民」の存在に着目していること,及び,「住民意思を尊重し反映する」という公共図書館運営の規範に関して,多様な意見や価値観を有する住民相互の「利害調整」や「合意形成」の必要性を与件とし,住民意思を「形成」するものとして捉えていることにある。社会的意義は,長らく形骸化が指摘される図書館協議会を対象とすることにより,その活性化を図る方策を検討するための新たな知見を提示することにある。