16世紀に印刷本は標題紙、目次、索引、頁付け等の要素を備えた近代的書物形態へと発展した。これらの要素のうち研究が進んでいなかった頁付け印刷と近代的標題紙の登場を、16世紀印刷本書誌を活用して、印刷中心地における頁付けと標題紙の推移を調査して、その発展過程を解明した。 頁付け印刷は1499年にヴェネツィアで始まり、1515年以降バーゼル、リヨン、ケルンでエラスムス等の人文主義書と西洋古典書に行われた。近代的標題紙は1519年にアントワープで登場し、バーゼルが次いだ。世紀後半にジュネーヴで宗教改革書、ケルンとアントワープで対抗宗教改革書に頁付けされ、世紀末にはパリ、ロンドンでも盛んになった。
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