研究課題
組織横断的な市民協働への応用に向け,WebシステムMissionForestの機能を拡張した.閲覧者によるミッションへの参加表明機能や,ミッション所有者による他ユーザへのタスク割り当て機能等を実装した.これを用い,組織横断的な市民協働の社会実験を試行した.具体的には,2019年2月の「第14回全国若者・ひきこもり協同実践交流会 in あいち」に向け,2018年11月にひきこもり支援等の活動をしている3団体にインタビューし,その活動内容をMissionForestに入力した.次に,2018年12月にその活動内容を参照しながら活動促進のためのアイデアソン・ハッカソンを開催した.学生やIT技術者が上記3団体の活動データを参照してアイデアを出し,プロトタイプを実装した.これらの成果を2019年2月「第14回全国若者・ひきこもり協同実践交流会 in あいち」で展示し,協働継続の可能性を探った.他にも,オープンデータの教育利用や,市民参加型イベントのための即興合奏支援システム,徘徊高齢者の経路可視化機構といった市民協働の研究にもMissionForestを活用した.また,前年度に引き続き学生の学修目標データも収集し,MissionForest教育利用の可能性を検討した.さらに,新たな組み合わせの協働・共創を検討する際に議論などのコミュニケーションが必要となるため,昨年度に引き続き議論および合意形成の支援機構も試作した.具体的には,ファシリテータエージェントの事前知識としてIBIS構造を用意するための関連情報提示機構や,そのIBIS構造を使った自動ファシリテーション機構,またファシリテーションのタイミング推定のための議論進行度の定量化を行った.これらの成果を,国際会議AT 2018,知能システム研究会,言語・音声理解と対話処理研究会,人工知能学会全国大会,市民共創知研究会などで発表した.
2: おおむね順調に進展している
組織横断的な市民協働への応用に向けた機能拡張と社会実験を行い,一定の成果を得た.特にNPOセクターによる社会的ミッションをMissionForestに入力する社会実験では,想定ユーザ層からのポジティブなフィードバックを得ることができ,タスク階層化機構の効果が検証できた.具体的には,2019年2月の「第14回全国若者・ひきこもり協同実践交流会 in あいち」に向け,2018年11月にひきこもり支援等の活動をしている3団体にインタビューし,その活動内容をMissionForestに入力した.次に,2018年12月にその活動内容を参照しながら活動促進のためのサービスを考えるアイデアソン・ハッカソンを開催した.シビックテックに興味のある学生やIT技術者が,上記3団体の活動データを参照してアイデア出しを行い,プロトタイプを実装した.これらプロトタイプやMissionForest上での協働の履歴を2019年2月「第14回全国若者・ひきこもり協同実践交流会 in あいち」で展示し,協働継続の可能性を探った.これにより,市民協働に繋げる上での知見も得ることができ,次年度の大学研究室とNPOセクターの協働へと進展する見通しである.ただし,取り組むべき課題の重要度や優先順位を検討する機構についてはニーズが確認できなかったため,まずはMissionForestに入力したデータを用いて活動内容を説明するための機構を優先して検討した.
今年度の社会実験を発展させ,大学研究室とNPOセクターの協働へ繋げていく見通しである.具体的には,発達障害の若者を支援する団体のニーズを満たすようなセルフケアアプリケーションの開発を検討しており,そのプロジェクトの内容をMissionForestでオープンデータ化していく予定である.また,協働の継続のためには,プロジェクトチームを再編成する機能や,新たな潜在的協力者に活動内容を説明できるようにする機能が必要と考え,MissionForest上のデータを用いて活動内容を説明しやすくする機構を検討する.さらに,議論支援機構とMissionForestの統合や,MissionForest上での合意形成の支援機構についても検討するとともに,他の市民協働を伴う研究にもMissionForestを活用しつつ実社会での運用上の知見を蓄積する予定である.
すべて 2019 2018 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (21件) (うち国際学会 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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http://mf.srmt.nitech.ac.jp/