研究課題/領域番号 |
17K00462
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
遠山 茂樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (40335914)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家庭防災 / 高知市 / パネル調査 / 第二波 / 追加調査 / 講演会 |
研究実績の概要 |
平成31(令和元)年度の当初の計画では、第二波調査を実施(調査票の作成、発送、回収)し、データ入力後に分析を行う予定であった。また、社会実験的「介入」として防災ワークショップを2月~3月にかけて複数回開催する計画であった。 しかしながら、第一波調査の調査票回収率が想定より低かったため、今年度は追加調査を企画し、実施した。追加調査では、新たに高知市選挙人名簿より700人規模のサンプルを抽出し、協力依頼はがきを6月に発送し、7月に調査票(721通)を郵送した。回答期限を9月末とし、回収した調査票数は164通(回収率22.7%)であった。 第二波調査前に、社会実験的「介入」としての防災講演会を企画し、家庭防災講演会を2019年11月30日(土)[10:00~12:30]にオーテピア高知図書館ホールで開催した。講師には高知県庁OBによって防災啓蒙に取り組む”こうち防災備えちょき隊”隊長として活動されている北川尚氏を講師に迎え、南海トラフ地震への備えについて講演してもらった。また、家庭防災調査第一波の集計結果や一部の分析結果についての中間報告も行った。参加者は17名であった。講演会に対するアンケートを会場で回収したが、ほとんどの参加者に高評価であった。 第二波調査については10月より準備し、12月に第一波調査で第二波調査協力を承諾してもらっていた249名に向けて調査票を郵送し、翌年1月末までに127通を回収した(回収率51.0%)。学生調査員を雇ってデータ入力・整理を2月中に終えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成29年度の第一波調査の実施が11月となったため、第二波調査も翌年同時期に設定し、防災講演会の開催時期との関連から、12月の実施となった。これは、第一波の回収率の低さから追加調査を7月に実施したことの影響もあった。このためデータ整理などを2月末までに行うことはできたが、その分、分析については遅れが出ている。 また、社会実験的「介入」として、当初計画では防災ワークショップを2月~3月にかけて複数回実施することになっていたが、調査前の「介入」のほうが望ましいとの考え、前年度の防災講演会を今年度へ移行した関係で、ワークショップについても翌年度開催へ移行させている。
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今後の研究の推進方策 |
4年目となる令和2(2020)年度は、当初計画では、①第3回目パネル質問票の作成、②質問票の発送・回収(郵送法)、③回収データの入力、④静的・動的データ分析を実施し、第2 回目までのデータを使った分析結果を、⑤中間報告として国内学会等で成果発表をする、としている。令和元年度は第一波調査の回収率が低かったことから追加調査を実施したため、令和2年度では第三波および追加第二波の調査を実施することになる(対象数は合わせて211人)。分析については、現状においてコーディングをほぼ終えた段階であり、縦断的分析のためのデータ整理はまだ不十分である。このため第二波調査結果までを含む分析までには至っていない。 今後の研究の推進のために本年度は以下のような計画を考えている。(1)データ分析については継続して取り組み、第一波データの横断的分析、第一波と第二波とによる縦断的分析、第二波と追加分とによる横断的分析を試みる。(2)「介入」となる防災ワークショップについては、防災士会高知や自治会等の協力を打診しつつ、早期に準備を進める。(3)第三波パネル調査、および、第二波追加調査を11月前後に実施する。(4)調査票調査の回収状況を見ながら、必要に応じて一部の協力者に対するスノーボールサンプリングによる追加的な社会ネットワーク調査について検討する。 ただし、新型コロナウィルス禍の影響で3月以降の研究は事実上停止しており、今後の社会情勢次第では、ワークショップ開催や調査実施を令和3年度へ繰り越すことも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は大きく2つある。 一つは、当初計画から社会実験的「介入」となる講演会やワークショップの開催時期を1年度遅らせたため、その費用見積分が翌年度へ繰り越されている。平成31(令和元)年度は防災講演会を開催したが、防災ワークショップ開催については令和2年度に実施する予定である。 二つ目の理由は、第一波調査における調査票の回収率が想定よりも低かったため、今年度は700人規模の追加調査を実施したが、結果として調査票回収率も想定よりは芳しくなく、調査票返送の郵送料が当初計画よりも抑えられたためである。社会ネットワークに関する調査項目について個票調査の紙面的制約もあることから、一部の協力者に対してスノーボールサンプリングによる追加的な社会ネットワーク調査の実施を検討する。
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