研究課題/領域番号 |
17K00462
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
遠山 茂樹 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (40335914)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 家庭防災 / 高知市 / パネル調査 / 新型コロナ禍 / 社会的支援 |
研究実績の概要 |
当初の計画では、2020年度に社会実験的「介入」として防災ワークショップを実施した上で、高知市家庭防災パネル調査(第三波)、および、追加調査(第二波)の実施(調査票の作成、発送、回収)を行う計画であった。しかしながら、新型コロナ禍の影響により、対面での実施が困難な防災ワークショップは中止の決断をした。2021年度は社会実験的「介入」のないまま延期していたパネル調査の最終回となる第三波調査および追加第二波調査(調査票の作成、発送、回収)を実施した。調査票は2021年10月に郵送し、回収率を上げるために翌年1月15日まで締め切りを延長し、さらに「家庭防災パネル調査 特設ページ」をウェブ開設して、協力を呼び掛けた。最終的に、第三波調査では回答数80(依頼数93,回答率86.0%)を、追加第二波調査では回答数77(依頼数110人、回答率70.0%)を回収した。調査員補助員の学生を雇ってデータ整理を依頼するのが困難な状況であったため、データ整理等の作業は翌年度に繰り越すことにした。 一方、2020年度に第三波および追加第二波の調査の代わりとして急遽実施した『緊急アンケート:新型コロナ禍における社会的支援』(有効回答数328)においては、回答データを整理した上で、統計分析作業に取り組んできた。アンケートではネームジェネレーター方式によるパーソナル・ネットワーク・データも収集しており、回答者(行為者としてのエゴ)と親しいつながりのある相手(アルター)のレベルのデータを分析対象とする統計分析を試みている。2021年度末までには凡その分析を終え、現在は論文執筆等の研究成果のとりまとめをしている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、延期していた『高知市家庭防災パネル調査』の第三波調査、および、追加第二波調査を実施した。しかしながら、これらの調査における回収率を高めるために質問票の返信締切りを2022年1月中旬まで延期したため、年度内にデータ整理等をほとんど行うことができなかった。特に新型コロナ禍の影響で社会調査員として学生を雇用することが不可能となり、作業の遅延を生み出した。 また、昨年度、パネル調査の代替として急遽実施した『緊急アンケート:新型コロナ禍における社会的支援』の分析においても想定以上に時間がかかり、2021年度内の研究成果発表に間に合わなかった点も遅れているとする理由の一つである。このため、昨年度において当初計画を見直して再スケジューリングしたが、調整後においてもやや遅れ気味となった。
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今後の研究の推進方策 |
パネル調査については、2022年度の早期に調査補助員として学生を雇い、本務校の新型コロナウイルス感染拡大防止のための活動方針レベルを見ながら、夏までにデータ整理作業に取り組み、できるだけ早期に分析作業へ移行できるようにしていく。また、これまでの横断的データ(つまり単年度のデータ)についての分析を進め、その成果を学会等で発表するとともに、論文の執筆に取り組んでいく。さらに、3回分のパネルデータの分析も進行させ、その研究成果を所属学会にて公表することについても、同時に取り組んでいく予定である。 緊急アンケートとして実施したパンデミック下のソーシャルポート研究については、現在執筆中の論文を完成させ、学会誌へ投稿する予定である。併せて同データ分析から得られる新たな知見について、所属学会での発表を目指す。 これらの研究成果発表を最優先させつつ、これまでの研究内容について報告書にまとめ、関係機関へ配布できるよう尽力していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では2021年度が本研究プロジェクトの最終年度であった。しかしながら、新型コロナ禍の影響で、当初予定していたパネル調査の実施を1年延期し、代わりにパンデミック下におけるソーシャル・サポートについての緊急アンケートを実施した。パネル調査最終回の1年延期の影響から、最終年度を2022年度になるよう申請した次第である。このような研究スケジュールの変更により、当初は2021年度に予定していた研究成果発表活動に関わる経費を、翌2022年度へ繰り越す必要が出てきた。このため、2022年度の研究成果発表に関わる経費分について、翌年度繰り越すようにしている。 2022年度は最終年度となることから、国内の3つの所属学会大会等において研究成果発表を計画している。ただし、国外の学会へは参加が困難と判断した。また、パネル調査データの整理について調査補助員として学生を雇い、実施する予定である。最終的には研究報告書を作成することも計画している。
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