研究実績の概要 |
(最終年度の研究成果) 当初計画より1年延長した6年目(令和4(2022)年度)では、前年度に実施したパネル調査第3波、および、追加第2波の回収データ(第3波80、追加第2波77)について、パンデミックがやや落ち着いた11月から12月にかけて学生調査員アルバイト2名とともコーディングを実施した。 最終年度では、2020年度急遽実施した『緊急アンケート:新型コロナ禍における社会的支援』(有効回答数328)のデータセットを用いて、アルターレベルデータによるマルチレベル分析を行い、その研究成果を学会発表2件(遠山 2022a, 2022b)、論文1編(遠山 2023)として公表した。しなしながら、当初計画にあったパネルデータを用いた縦断的分析については今後に持ち越すこととなった。 (研究期間全体を通じて実施した研究の成果について) 令和4年度末までにパネル調査第3波、および、追加第2波での回答のコーディングまでを終えたが、縦断的分析まで間に合わなかった。このため、本研究テーマに関するこの時点での研究成果としては、第1波データによる横断的分析結果があり、各家庭防災行動因子に対するパーソナルネットワーク特性の効果の違いについて一部解明し(遠山 2019)、探索的に行った高知市民の社会的ネットワーク構造推定では、社会的属性におけるホモフィリー効果を確認している(遠山 2020)。また、新型コロナ禍で急遽実施したソーシャルサポートに関する社会調査データを用いたマルチレベル分析結果では、親密性のネットワーク構造とつながった相手の特性との組み合わせ条件によりサポート提供に違いが出るという示唆を得ている(遠山 2022a, 2022b, 2023)。本研究の当初目的は、地方住民の防災行動における経時的変化のメカニズム解明であり、パネルデータによる縦断的分析については今後取り組む予定である。
|