研究課題/領域番号 |
17K00468
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研究機関 | 椙山女学園大学 |
研究代表者 |
見田 隆鑑 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (30634365)
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研究分担者 |
栃窪 優二 椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (60465507)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 仏教美術 / 映像 / デジタルアーカイブ / 地域連携 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、愛知県大府市との連携が始まり、大府市の寺院のうち撮影の許可を得られた4ヶ寺を対象に、映像作品の制作を行った。具体的には極楽寺の木造阿弥陀三尊像、延命寺の木造阿弥陀如来坐像(大府市指定文化財)、地蔵寺の木造地蔵菩薩立像と木造青面金剛立像、清涼寺の木造十一面観音菩薩立像と木造阿弥陀如来坐像に関する映像作品を制作し、その映像を椙山女学園大学のYouTubeページ及び研究代表者(見田)が管理する「地域文化・仏像バーチャルミュージアム」のホームページ上に公開した。今回制作した映像作品の中で、文化財指定を受ける作品は延命寺の阿弥陀如来坐像1点のみだが、大府市との連携で制作していく映像作品では、撮影対象が文化財として指定される作品かどうかにこだわらず、一地域の寺院とそこに伝わる仏像、また現在の信仰の姿を記録・発信することにも意味を持たせている。 また、これまで継続的に映像制作を行ってきた愛知県名古屋市、同稲沢市の仏像に関する映像制作も行い、名古屋市では中村区高須賀町・願成寺の木造阿弥陀如来立像(室町時代)と木造金剛力士立像(鎌倉時代)、熱田区尾頭町・雲心寺の木造阿弥陀如来坐像(江戸時代)の撮影を行い、稲沢市では平和町・長福寺の仁王門と木造仁王像、中之庄町・無量光院の木造不動明王立像と木造毘沙門天立像の撮影を行った。これら計4本の映像作品に関しては年度内に編集作業を行っており、次年度に公開する準備を進めている。 名古屋市の仏像に関しては今後も撮影を継続していくが、稲沢市の仏像(彫刻)に関しては、指定文化財のうち現状で撮影が可能な作品に関しては一応今年度で撮影を終えた形となり、今後これまでの作品をDVD等にまとめて稲沢市へ寄贈するとともに、映像作品を公開してきたことの効果や、今後の具体的な活用方法についての検討し、これまでの活動の振り返りを今後行っていくことになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先の研究実績の概要に記したように、一年度内に8本の映像を撮影できており、また稲沢市、大府市を中心に地域との連携を図りながら円滑な作業を進めていくことができた。8本のうち4本は現在編集過程ではあるが、平成30年6月迄にはすべて公開が可能になるものと思われる。映像の撮影、編集作業には共同研究者(栃窪)のゼミ学生が積極的に関わっており、ナレーションなどもレベルの高いものとなっている。また、年度内に映像作品をコンスタントに制作できたという点だけではなく、地域と大学とが連携した活動として、地域に残る文化遺産の映像制作とその活用を図るとともに、このような活動が大学での教員・学生の研究教育の場にもなっている点でも、概ね当初の目的に沿った研究活動を行えているものと考える。平成29年度は愛知県内での映像制作に止まり、研究代表者の研究対象である明王像に焦点を当てた映像作品の制作は行わなかったが、平成30年度以降はテーマを設けて映像作品の制作を行いたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
大府市との連携で行う映像作品の制作に関しては、平成30年4月から研究代表者が大府市の文化財保護委員になることもあり、平成30年度以降も大府市との連携を継続して映像作品の制作を行っていく予定である。具体的な撮影対象については大府市との協議の上で対象寺院を選択していく。また、平成30年10月に大府市歴史民俗資料館にて行われる、知多地方文化財保護委員会連絡協議会の研修会において、平成29年度より大府市と連携して行っている映像作品の制作に関して研究代表者が報告を行うことになっている。この報告を契機に知多地域の市町とも連携に繋げていけたらと考えている。また、稲沢市との連携に関しては、今後撮影が可能となる撮影対象(新たに撮影許可が出た作品、現状は安置状況の事情で撮影が困難な作品などが撮影可能になった場合)について映像制作を継続するとともに、これまでに制作を行った作品をすべてDVD等にまとめて市に寄贈するとともに、映像作品を公開してきたことの効果や、今後の具体的な活用方法についての検討し、これまでの活動の振り返りを行っていく。名古屋市内の仏像に関しても撮影の交渉を順次行いながら、映像制作を継続していく予定である。また、平成30年度に研究代表者が一宮市(8月)と蒲郡市(10月)で同地域の文化財に関する講座の依頼を受けており、このような機会にも持続的な映像制作に繋げていける関係を構築していきたいと考えている。上記の愛知県内での活動の他、県外の寺院でも研究代表者が研究対象としている明王像に関する映像作品の制作も行いたいと考えている。具体的な撮影対象に関しては実地調査に合わせて撮影の交渉を行い、すでに撮影許可を得ている寺院があり、平成30年度内に撮影・編集と公開を行っていきたいと考えている。明王像に関しては、「山岳寺院に伝わる明王像」というテーマで継続的な撮影を行っていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度は県外の寺院に出張して撮影することがなく、その予備調査や撮影原稿制作に必要な新たな文献資料等の購入に費用を使うことがなく、主にコンピュータなど編集ための環境機材の充実に対して予算を使用する形となった、このため余剰分を次年度に繰り越す形となった。
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