研究課題/領域番号 |
17K00472
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
稲永 健太郎 九州産業大学, 理工学部, 准教授 (40336061)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 運行管理支援システム / 地域公共交通 / コミュニティバス / GTFS / 標準的なバス情報フォーマット / GTFS-JP |
研究実績の概要 |
国内の地方公共交通は、地域創生・地域活性化の基盤の1つとして位置付けられている。地方公共交通の1つであるコミュニティバスについて、乗客の高い利用満足度かつ効率的な運行を目指し、運行主体の自治体は、その対応策を喫緊の課題としている。しかし、厳しい人的・財政的な制約下では、改善のための基礎データである利用状況を把握することが容易でない。本研究は、自治体コミュニティバスの運行管理支援を目的とした、バス利用状況調査および運行状況管理が容易に行える情報システムを構築し、その有効性を検証する。
平成30年度は、運行自治体担当者向けの「アンケート調査・バス位置データ提供Webシステム」を構築した。このシステムは、平成29年度に開発したアプリ「ASHIYA」「SHINGU」で収集したアンケート調査データおよびバス位置データを開発システム内でデータベース化し、Webブラウザで表示・閲覧させる機能を持つ。両アプリから送信されデータベース化されたアンケート調査データは,曜日・時間帯・タッチ位置バス停といった項目別に集計でき、その結果を運行自治体担当者がリアルタイムにWebブラウザで把握できる。また、アンケート調査とは別に、両アプリには一定時間間隔でバス位置データ(GPS)が発信される機能が備わっており、その位置データが開発システム内でデータベース化され、このデータベースから過去ならびにリアルタイムなバス運行状況を追跡・把握できる。 これらの機能を持つシステムを開発し、大学研究室内に設置されたサーバに導入した。このシステム導入後、福岡県内の複数の自治体コミュニティバス(小郡市、嘉麻市、古賀市、新宮町、須恵町、築上町、久山町)で試験運用を行い、データベース化されたアンケート調査データおよびバス位置データを運用自治体担当者に閲覧・確認いただき、このシステムが実運用に耐えうる見通しを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画よりも多くの自治体の協力を得て、開発システムの実証実験も十分に実施できており、さらに一部の自治体では、このシステムの実運用に入ることが決定しているため。 また、次年度(平成31年度)の研究内容(運行自治体担当者向けの「アンケート調査・バス位置データ提供Webシステム」の改良)にも一部着手できているため。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画通り、研究を推進していく。具体的には、平成31年度に運行自治体担当者向けの「アンケート調査・バス位置データ提供Webシステム」を改良する。現時点で想定される改良事項として,収集した各種データをオープン化し,他の運行自治体担当者に閲覧させることが挙げられる。このデータのオープン化は,他の自治体の運行状況および運行管理の実際についてそのデータを共有し,そこから相互の運行管理ノウハウを共有するといった,このシステムの有効性を広く多くの自治体に活用してもらう方策として検討しているものである。このデータのオープン化は技術的には可能であると判断しているが,その必要性に関して協力自治体との議論を重ねその意義を見極めた上で,必要に応じて機能追加の形で改良を行う。 また、アプリ「ASHIYA」「SHINGU」から得られたデータをバス利用客がWeb上で閲覧できる、「バス位置データ提供Webシステム」を構築する。平成30年度にすでに開発を進めており、現時点で想定される機能として,バス利用客に提供すべき時刻表データや路線データ,地図上でのバス停の位置データ,目的地最寄りバス停までの経路データの表示,バス利用客ごとにカスタマイズされた時刻表データの作成,表示等が挙げられる。これらの機能を持つWebシステムを開発し,大学研究室内に設置されたWebデータサーバに導入する。このWebシステムを導入後,前述の複数の自治体のコミュニティバスで試験運用を行い,運行自治体担当者を介して調査依頼するバス利用客にこのWebシステムを利用してもらい,その使用感,問題点,要望をヒアリングしてシステムの実用性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の機材を利用してシステムの研究開発を進められたため、また生産性の高い作業を行ったため、人件費を削除できたため。
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