国内の地方公共交通は、地域創生・地域活性化の基盤の1つとして位置付けられている。地方公共交通の1つであるコミュニティバスについて、乗客の高い利用満足度かつ効率的な運行を目指し、運行主体の自治体はその対応策を喫緊の課題としている。しかし、厳しい人的・財政的な制約下では、改善のための基礎データである利用状況を把握することが容易でない。本研究は、自治体コミュニティバスの運行管理支援を目的とした、バス利用状況調査および運行状況管理を容易に実施可能な情報システムを構築し、その有効性を確認した。
令和2(2020)年度は、一昨年度に構築した運行自治体担当者向けの「アンケート調査・バス位置データ提供Webシステム」の改良版について、前年度の新型コロナウイルス感染拡大の影響をを受け中断していた実証実験を実施した。 この改良版では、これまでに開発したアプリ「ASHIYA」「SHINGU」で収集できるアンケート調査データおよびバス位置データを開発システム内でデータベース化しており、システムの設定を変更することで、このデータベースから各種データを取り出しWebブラウザで表示・閲覧させる対象を柔軟に変更できる。また、もう1つの課題であった、アプリ「ASHIYA」「SHINGU」から得られたデータをバス利用客がWeb上で閲覧できる「バス位置データ提供Webシステム」の機能を備えている。 このシステムを、福岡県内の複数の自治体コミュニティバス(古賀市、新宮町、須恵町、久山町)で試験運用し、データベース化されたアンケート調査データおよびバス位置データを運用自治体担当者に評価いただき、実運用における有効性を確認した。
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