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2017 年度 実施状況報告書

情報セキュリティにおける状況判断スキル学習のための適応的課題生成手法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K00479
研究機関北陸先端科学技術大学院大学

研究代表者

長谷川 忍  北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 准教授 (30345665)

研究分担者 BEURAN Razvan  北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特任准教授 (40771788)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード情報セキュリティリテラシ / 状況判断スキル / 適応的課題生成 / 学習管理システム
研究実績の概要

平成29年度はまず,一般の情報環境ユーザが情報セキュリティ対策を実施する上で身につけるべきスキルとして,環境の変化や技術の進歩に関わらず陳腐化しにくい状況判断・意思決定スキルを対象として,学習過程のモデル化を行った.具体的には,情報セキュリティにおける状況判断・意思決定のための状況やシナリオを,1. セキュリティインシデントの内容,2. インシデントの影響範囲,3. インシデントに対する時間的制約,4. 情報セキュリティにおける基本ルール,に分類した.
さらに,認知的スキルにおける代表的な学習プロセスモデルの一つである認知的徒弟制のアプローチに基づいて,事例を提供する「モデリング」,学習者の状況判断・意思決定に対してヒントやフィードバックを与える「コーチング」,手掛かりや支援を上達に従い減らしていく「足場づくり」を,非専門家である一般ユーザが継続的に向上することができるように,ゲームメカニズムを認知的スキルのトレーニングプロセスに応用する「ゲーミフィケーション」の方法論に基づいて整理した.
また,上記のモデルに基づき状況判断・意思決定のトレーニングを行うためのプロトタイプアプリケーションを開発し,簡単な評価を行った.加えて,オープンソースの学習管理システム(LMS)であるMoodle上に,状況判断・意思決定のための学習を行うためのプラットフォームの役割を果たすモジュールをプロトタイプとして開発した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度の研究計画として,[1]状況判断とその学習過程のモデル化,[2]オンラインセキュリティ演習環境のプロトタイプ開発,を挙げていた.前者については状況判断に加えて意思決定を対象としてセキュリティインシデントをの状況やシナリオを表現するためのモデル化を行うとともに,認知的徒弟制とゲーミフィケーションを組み合わせて非専門家である一般ユーザが継続的に状況判断・意思決定スキルを向上させるための学習プロセスモデルを提案した.これにより,状況判断・意思決定に関する認知的スキルに対する学習過程を表現し,システムで学習状態を推定するための基礎を準備することができた.後者については,実際のセキュリティポリシーおよびガイドラインをベースに上記のモデルに従って構成したシナリオに基づき,学習者がセキュリティインシデント発生時の定性的な状況判断や意思決定を行うことをシミュレートするゲームベースのトレーニング環境を開発し,簡単な評価実験を通じて学習プロセスモデルの分析やフィードバックのための情報の収集・蓄積を行った.さらに事前に登録したシナリオに基づいて,トレーニングのための環境を生成するモジュールをMoodle上で開発することで,学習時の活動を学習履歴として収集するとともに,Moodleを活用する他機関でも容易に展開可能な形式を整えた.これらのことから,おおむね想定していた内容で順調に進展していると考えられる.

今後の研究の推進方策

平成30年度は,適応的な課題生成アルゴリズムを実現するために,状況判断・意思決定スキルに対する学習状態を推定するための手法を検討する.ここでは,平成29年度に提案した状況判断・意思決定モデルの構成要素を学習者のトレーニング履歴と組み合わせ,時系列を加味したクラスタリングを行うことで,学習者毎の得意・不得意な要素を表現する.
さらに,同じく平成29年度に提案した学習プロセスモデルに基づいて,学習者の不得意な要素に関するトレーニングシナリオのパラメータを変動させ,演習課題を適応的に生成するアルゴリズムを実現する.基本的には,初学者に対してはパラメータを大きく変動させ極端な状況を生成し,熟練者に対しては状況判断における閾値の周辺で小さく変動させる乱数を生成することで,学習者が異なる課題を繰り返しトレーニングできるようにする.また,トレーニング課題の難しさおよび学習者のレベルの表現に,評価項目群への応答に基づいて学習者の特性や評価項目の難易度・識別力を測定するための手法である項目反応理論を適用できないかについても合わせて検討する.

次年度使用額が生じた理由

購入を予定していた開発用機器の機能アップデートが年度末に行われたため,次年度に購入することが妥当であると判断されたため.次年度に購入を行い開発を加速される予定である.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件)

  • [学会発表] AI in EdTech/LearnTech2017

    • 著者名/発表者名
      S. Hasegawa
    • 学会等名
      Keynote Speech, International Symposium on Materials and Electrical Engineering (ISMEE 2017), Nov. 2017, Indonesia.
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The Role of Gamification to Support Cognitive Skill Improvement2017

    • 著者名/発表者名
      S. Hasegawa
    • 学会等名
      ASEAN Japan Joint-Workshop on Computational Linguistics & Informatics (ALCLI 2017), Nov. 2017, Malaysia.
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The Role of Serious Games in Disaster and Safety Education: An Integrative Review2017

    • 著者名/発表者名
      D. Wahyudin & S. Hasegawa
    • 学会等名
      Workshop Proceedings on 25th International Conference on Computers in Education (ICCE 2017), pp.180-190, Dec. 2017, New Zealand.
    • 国際学会
  • [学会発表] Design and Evaluation of a Cybersecurity Awareness Training Game2017

    • 著者名/発表者名
      D. Huynh, P. Luong, H. Iida, and R. Beuran
    • 学会等名
      IFIP International Conference on Entertainment Computing (ICEC 2017), pp. 183-188, Sep., 2017, Tsukuba City, Japan,
    • 国際学会
  • [学会発表] Advances in Cybersecurity Education and Training Methodologies2017

    • 著者名/発表者名
      R. Beuran, K. Chinen, S. Hasegawa
    • 学会等名
      Journee Francophone de la Recherche (JFR 2017), p. 37, Dec., 2017, Tokyo, Japan.
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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