研究課題/領域番号 |
17K00480
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
吉川 雅修 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (70200962)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 学修履歴 / 可視化 / 電子シラバス / 品質機能展開 / 学修支援 / 学習分析 |
研究実績の概要 |
第一フェーズとして計画していた,学生の学修マップの情報構造の設計および構築に関する分析的な研究と第一段階の実装を実施した。 学修マップを相互に連結する三つのサブマップに分離して構成した.(1)科目を基軸に知識を配置するサブマップ(2)教育プログラムで扱う知識を基軸に科目を配置するサブマップ(3)教育プログラム内の科目群を配置するサブマップ,である. 初期状態の決定と,学習者の状況を反映させた継続的な学修マップの更新についてモデル化を行った.これには,研究課題番号:24501131「品質機能展開を利用した工学系教育コースの総合支援」での成果の一部を用いた.まず,初期状態は教育プログラムの知識構造を反映して学習者の状況に依存しないものと考え,科目シラバスが持つキーワードを抽出して配置した知識マップを基本とした.実際の履修実績と本人の定期的な自主的な見直しを反映させ、理解が十分であるか不十分であるかの状況情報を継続的に学修マップに反映していくモデルを構築した. 実装に関してはシステム統合の準備段階である.既存のe-Learningシステムやe-Portfolioシステム上に構築する実装形態を採っていない.学修マップを作成するためのシステムを独自に立てる形態を採っている.学習者の個人情報を保護しながら,利用結果を研究者が把握する実装形態の検討を行っている.分析的な側面では,教育プログラム利用者へのサービスの要求定義と品質評価という観点で,科目履修行動を品質機能展開の方法論を適用して分析した.学習者の科目履修の成功の要因を整理し,システムが実行する学修支援活動との関連付けを行った. 第一フェーズでの研究の中間的な成果について,日本人工知能学会全国大会と品質機能展開国際会議において発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
学習者を被験者としての評価実験が計画段階にとどまっているが,研究の第一フェーズとして計画していた分析と実装については終了した. 評価実験に関して,学習者の個人情報を保護しながら,利用結果を研究者が把握するために実装形態の工夫が必要であることが判明した.
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今後の研究の推進方策 |
分析研究では,成績評価に関してループリックをデータ行列として品質機能展開や影響度関連度の分析手法にあてはめることで学習者の個人的および集団的な挙動を把握して学修支援と対応付けるモデル化を実施する. 実装研究では,学習者をユーザとして実験を行い,科目履修の学修支援を行うとともに学修履歴と学修マップの構築モデルの妥当性検証と改善の分析を行う.学習者の個人情報を保護するために,学習者の情報入力システムと情報分析システムとの間にデータ匿名化機構を介在させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
他の業務の関係で参加できなかった国内学会が発生したために残額が発生した. 今後の本人または発表補助者の学会参加に関わる費用に充てる計画である.
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